オトメイトスタッフブログ

【終遠のヴィルシュ】ブログ第8回目

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キャラクター投票企画の結果を発表しました!
そしてブログ限定の書き下ろしSSをお届け。

先にお伝えします、かなりの大ボリュームです。ネタバレも含まれています。

『終ヴィル』ブログ、第八回目スタートです!

オトメイトスタッフブログをご覧の皆様、こんにちは。
アイディアファクトリーの吉田です。

本日、公式サイトにてキャラクター投票企画の結果発表を行いました。
すでに結果はご覧いただけましたでしょうか?

そして本日12月24日は――そう、クリスマスイヴ。

皆様、いかがお過ごしでしょうか? 家族と、友人と、大切な人と過ごすのが一般的と言われていますが......そんなこと誰が決めたんですか! と声を大にして言いたい今日この頃です。

しかし【終ヴィル】もクリスマスイヴにちなみ、皆様へプレゼントをお届けしに参りました!
ぜひ最後までお付き合いくださいませ。

まずはお知らせからです。

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【公式Twitter】


本作の公式ツイッターでは、最新情報をお届けしています!
ここでしか見られない情報や、特別企画などもありますのでぜひご覧くださいませ。

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【公式HP】

キャラクターページやストーリーなど、ゲーム情報をご紹介しています。
Twitterアイテムなどもご用意していますので、こちらもチェックしてみてください!
本日、キャラクター投票企画【Fête de La Virche.】の結果を発表しました!

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【雑誌掲載情報】

現在発売中の『オトメイトスタイル Vol.7』にて、読氏の描き下ろし表紙イラスト&巻頭特集が掲載中!

【パッチ情報】

バージョンアップパッチ(ver.1.01)を配信しております。
詳細はこちらをご確認ください、

【配信情報】

『八代&小林のゲームツーリズム♪ ~Presented by オトメイト~』第3回(終ヴィル特集回)のダイジェスト動画をお届け中!
スウィートプラン限定動画(有料パート)では、八代拓さん、小林千晃さん、ゲストの山下誠一郎さんが本作の実況プレイに挑戦。
3パートに分けて現在公開中です!  3人のプレイ中の様子や感想など、見どころ満載となっておりますので、この機会にぜひご覧くださいね。

番組情報:https://www.openrec.tv/user/tourism
第3回ダイジェスト(終ヴィル特集回):https://www.youtube.com/watch?v=LqqiPqxRWE4

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キャラクター投票企画――【Fête de La Virche.】
ご参加くださった皆様、誠にありがとうございました!

各項目、各キャラクターへの想い......皆様からのコメントも全て拝見させていただいております。現在公式サイトで公開中のユーザーアンケート含め、皆様からの率直なご意見を頂戴でき、本当に有難いです。

さて本日のブログはこのキャラクター投票の結果に触れるため、結構しっかりとネタバレありの内容となっております。ご了承くださいませ。
未プレイの方はお気を付けください......。


今回の投票企画は、普段のオトメイトタイトルと異なって【項目ごとの投票による総獲得票数】によって1位が決まる形式となっていました。
(直近だと『君は雪間に希う』が同じ形式で投票企画を行っていましたね!)

項目を考えている時は「このお題の上位はあの人たちかな......」とぼんやり思っていたのですが、実際に結果が出ると「意外!」というものが多くありました。
そしてどのキャラクターへもとても熱いコメントをたくさん頂戴しています。本当にありがとうございます......!

というわけで、結果発表ページでご紹介できなかったメインキャラクターたちへのコメントを、こちらで一部ご紹介させていただきます。
※公式サイトのキャラクター順でご紹介しますので、こちらは順位とは関係ありません

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・イヴと友人だったら間違いなく毎日楽しいと思います。殺人料理は食べたくないですけど。あと飲み会したいです!彼がいる飲み会は間違いなく面白くなりそうなので...w(Ⅰ)
・いっぱい甘やかされてしまいそうでもあるけど、何がなんでも他人のために無茶をすることが多すぎて心配だから。部下と言うよりはストッパー役として転職したい。求人票は何処ですか...?(Ⅱ)
・クルーンの仕事は沢山の人に関われるから楽しそう! イヴには少し振り回されそうだけど、優しくて丁寧に仕事を教えてくれそうだから!(Ⅱ)
・いろいろ相談に乗ってくれたり、明るく前向きな彼のそばに居ると自分も元気になれそうです! それから、一緒にふくのお世話をしたいです。(食べさせません)(Ⅲ)
・最後まできっと笑い合えると思うので(Ⅳ)
・自分が絶望を強いてしまった元凶なのに、それでも追いかけて来てくれるイヴを見て、絶対に救済したいと思ったから(Ⅴ)
・幸せになって欲しいです。これまでたくさんの悲しみや苦しみを経験してきた彼には心からの幸せを手に入れて笑顔でいてほしいと強く思います。(Ⅴ)


イヴは「友達になりたい! でも料理は食べたくない!」というのと、「一緒に料理してみたい!」と「興味本位で食べてみたい!」と大きく三つに分けたコメントが多かったですね。ぜひ彼のそばにいて、一番彼の胃袋に近いフクくんを守ってあげてください(笑)
本編でとてもつらい出来事ばかりだったイヴですが、それでも前を向き続けた姿に、皆様から多くのお声をいただいているという印象でした。
ぜひ心優しい彼を、これからも愛していただけたら嬉しいです。
イヴに投票して下さった皆様、ありがとうございました!

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・ルートによっては他人のために自分を犠牲にしすぎる、っていう場面もあるけど、思いやりがあってまっすぐでとても尊敬できる人だからです。いつも「先生」として頑張っている彼と、たまにゆっくりお茶をしながら色んな話ができる友人になりたいです。恋バナもしてみたい!(Ⅰ)
・仕事ぶりを正当に評価してくれそうです。ちゃんといい子にしてますから、頭なでなでしてもらいたいです。(Ⅱ)
・物腰が柔らかくて普段は優しい生徒思いの先生だけど、実は病気の妹がいて妹思いで妹のために自分を犠牲にしてまで辛い中で弱音も吐かずに生きている姿を見て、1人で頑張らなくてもいいと伝えて支えてあげたいと思った。どんな彼も大好き。(Ⅲ)
・彼が背負っている罪を思うと、どうしても放っておけない。本当は、彼が狂いきる前に一緒に絶望したかった。(Ⅳ)
・幸せにならなくてもいい。疲れたなら一緒に休んで全てを終わりましょう(Ⅳ)
・大切な家族のために奪うことを強いられ、苦しみ続けた人なので、ささやかでも幸せな日々を過ごせることを願わずにはいられません。(Ⅴ)
・どうか・・・どうか幸せになって・・・。(Ⅴ)


「頑張りましたねと言ってほしい!」「頭を撫でてほしい......」というコメントがⅠとⅡの質問で最も多かったです! しかしその気持ち、とても分かります。
勉強や仕事で心をすり減らすことも多い現代、少しでも優しい気持ちを向けてもらえるだけで頑張ろうと思えることもありますよね。
優しい教師であり、違う一面もあり......そして多くの意味で皆様を導いてくれたであろう彼へは、とても温かい、様々な【切望】のコメントを多く頂戴しました。
リュカに投票して下さった皆様、ありがとうございました!

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・一緒に本を読んで感想を語り合いたい。また、創作した小説に挿絵を描いてあげたい。(Ⅰ)
・どのルートでも何度も懸命に助けてくれ、元気を取り戻していく姿が嬉しかった。友人として隣にいる彼の姿もとても好き!(Ⅰ)
・平和な会社になりそう(Ⅱ)
・色々な記憶がある中で何回も恋をして、最後にはちゃんと今のマティスで一目惚れし、新しい恋を心のそこから楽しんで幸せな姿が見たい。(Ⅲ)
・何千回も再び恋に落ちることをとても楽しみにしています(Ⅲ)
・たとえ記憶を無くして、全く別人になってしまったとしても、あなたが壊れないように、自分は嘘を演じ続ける。苦しいけど、素敵な愛の形だと思います。(Ⅳ)
・寄り添いたいと思うのが彼でした。何度生まれ変わっても愛してると伝えたいです。(Ⅳ)
・助けたい(限界感情)(Ⅴ)
・「マティス」として平和に生きられるのを願いたい(Ⅴ)


やはり彼は「一緒に小説を書きたいor読みたい」というお声が多かったのですが、「挿絵を描きたい」というのもとても目に留まりましたね。
きっとマティスとなら何かを作り上げる、一緒に完成させる......一緒に頑張れる。そう思ってくださった方が多かったのではないかなと感じました。引っ張っていってくれる相手も素敵ですが、【一緒に】同じ歩幅で歩いてくれる相手というのはとても貴重だと思います。皆様にとって、マティスがそういう存在であればとても嬉しいです!
マティスに投票して下さった皆様、ありがとうございました!

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・上司や家族だと世話をしないといけないけど、議論をしたら楽しそう。「俺が神」と高笑いしているところを「はいはい」と眺めていたい(Ⅰ)
・やれないことはやれないと自分より上の立場の者にもはっきり言ってくれる、何かあったら責任は俺が持つと言ってくれる、めちゃくちゃ理想の上司だと思います。(Ⅱ)
・作中、フルネームで呼ばれる回数が最も多いであろう男。皆から愛され(憎まれ?)ているシアン・ブロフィワーズを私も愛しています。(Ⅲ)
・愛を知った彼の止まらぬ対応が照れると同時に始めて感情を向けるシアンさんの言動、行動を受け止めたいと思いました。(見た目は若くても実年齢のギャップがやばい)(Ⅲ)
・感情がないとできない【絶望】をシアンさんとともにできるのは、たとえどんな未来であっても幸せだと思うのです。(Ⅳ)
・愛を理解しなかった人へ愛を教えたならば、その先がどんなものであろうと共にあらねばならない。(Ⅳ)
・人としての感情を得た彼は誰よりも素敵だから。手に入れた『心』で感じる初めての経験を隣で見守っていきたい。(Ⅴ)


作中、フルネームで呼ばれる回数が最も多いであろう男......(笑)。なぜシアン・ブロフィワーズと言いたくなるのでしょうか。意外と口ざわりいいですよね、とてもよく分かります。
さてそんなシアンですが、彼は恋人にしたい! という声が非常に多かったですね。しかしその理由は様々で、「なるほどそういう理由で......」と思うものが多々ありました。
傲慢何様俺様シアン様ですが、だからこそちゃんと向き合ってくれる彼の瞳を、これからも見続けていただければ幸いです。
シアン・ブロフィワーズに投票して下さった皆様、ありがとうございました!

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・友人になるまでが大変そうだけど一度懐に入れたら情が深くて安心できる気がします。(Ⅰ)
・「料理当番をイヴからセレスに変える!」と言う言葉に一般団員Dになって歓喜してみたい人生だった...(Ⅱ)
・問題児メンツの中での常識人。普通で当たり前なことを当たり前にしようと行動する彼が、私の中の上司像にハマりました。(Ⅱ)
・一途に想い続けてくれそう。ただ甘やかすだけじゃなく、ダメなものはダメとはっきり言ってくれそうだし、不器用ながらも頑張って愛を伝えてくれそう。(Ⅲ)
・一緒にお野菜育てて、余った分は一緒にお料理して、食後にお茶しながらお喋りして、月に数回施設に遊びに行って、なんでもない「普通」の時間をいつまでも大切に一緒に過ごしたいです。(Ⅲ)
・アドルフはお兄さんで家族のような存在だと思うので...やっぱり家族がつらいときは一緒につらい思いをしてあげて、楽しいときには一緒に笑いたいです。(Ⅳ)
・普通の人間として幸せになって欲しい(Ⅴ)


アドルフへは家族として、男性として、とふたつの側面のお声を多くいただいていました!
どこまでも普通な男だった彼。でもその普通を愛おしいと、大切だというお声に改めて普通って尊いものなのだな、と再確認させていただいた気がします。
ぜひ彼の特別になってあげてください。
アドルフに投票して下さった皆様、ありがとうございました!

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・きっとこちらに簡単に心は開いてくれないと思うので、アンクゥの元に手土産を持って通い、慣れてくれる過程を楽しみたいです。一緒にセレスを見守りたいです。(Ⅰ)
・信念が強いからついていきたくなる(Ⅱ)
・セレスに対する愛や想いが本当に深くて強くて......こんな風に思われてみたいって思ってしまった。きっと何があっても永遠に愛してくれるんだろうなと思う。(Ⅲ)
・アンクゥ................................................(これが全て)(Ⅲ)
・彼の過去を知った上で、全てを終わらせる時は共にいたいと思ったから。(Ⅳ)
・気が遠くなるほど長い旅路の果てに待つものが、幸福でないなど信じたくはない。君よ幸せであってくれ。(Ⅴ)
・待っていてくれてありがとう。がんばり続けてくれてありがとう。待たせたぶん、これから先幸せでありますようにと願いたい。(Ⅴ)


アンクゥは、本当にお話しできることが少なすぎるんですよね......。どうお話ししてもネタバレ一直線と言いますか......。本作をプレイしていただき、一番皆様からの印象ががらっと変わったのがおそらく彼なのではないかと思っています。
あなただけの【死の番人】の幸福を、どうぞ祈っていただければ嬉しいです。
アンクゥに投票して下さった皆様、ありがとうございました!

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・あまり外に出るのを好まなかった頃の彼女の手を引いて、色んな美味しいものを食べ歩きたいです!(Ⅰ)
・かわいい、優しい、美しい女神のような女性だから。もし、呪いにかかったとしても許せる。友達になって、家族に自慢したい。(Ⅰ)
・大好きな掃除の仕方を教えてもらって、私の先輩死神とか呼ばれてるけどめちゃくちゃ掃除上手いんですよね...と後方後輩面をしたい。(Ⅱ)
・セレスちゃんの手料理を毎日食べたいからです。セレスちゃんが描いた猫のらくがきをワッペンにしてほしいです。笑顔にさせたいからです。(Ⅲ)
・もうずっと一緒に絶望してるから...(Ⅳ)
・こんなに健気で可愛い良い子を、救いたいと思わないはずがないです。死神だと言われていたって、関係ない。私はセレスちゃんを救いたいです。(Ⅴ)
・大好き。優しい死神を救済したいです。(Ⅴ)


ありがたいことに好きな主人公と言ってくださる方が多く、ほっとしました。後方後輩面にはぜひ混ぜてください。
本作で絶望し続け、それでも挑み続けたセレスへの温かいお声......本当にありがとうございます。彼女は本編で衣装が変わる箇所も多かったのですが、なかなか全身を映す機会がなかったのでいつかお届けする場ができればいいなと思っています。
絶望と救済に辿り着いた彼女が、どうか皆様と共にずっと笑顔であれますように。
セレスに投票して下さった皆様、ありがとうございました!

さて、ブログでのご紹介は以上です。

今回ご紹介した以外にも、とても多くのコメントを頂戴しまして......サブキャラたちもご紹介したかったのですが、際限がなくなってしまいそうですのでこの辺りとさせていただきます。

こちらで結果発表と、各キャラクターたちからのメッセージ&総合1位の読氏描きおろしイラストをお届けしていますので、まだ見ていないという方はぜひお楽しみいただければ幸いです。
(こちらもネタバレ満載になっていますので、未プレイの方はお気をつけくださいませ)

改めましてご参加くださった皆様、本当にありがとうございました!!

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これは今宵限り――クリスマスイヴの優しい奇跡。
あったかもしれない彼らの聖なる一日の物語を、どうぞお楽しみください。

 

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――某日、夜。

「アドルフ、改めて――。今日はお誕生日おめでとう。これからも健康でいてね」
「ああ、わざわざ来てもらって悪いな。
今日はいつにもまして、お前の手作り料理が美味かった。
俺もいい歳だし、そろそろ祝われるのも少し気恥ずかしいんだが......」

ちらり、とアドルフは部屋の奥に積まれている、贈り物の数々を見やった。

「......いざ祝われると、どうにも悪い気がしないから困る」
「ふふ、イヴたちも揃って、贈り物を渡しに来てくれたものね。
今度改めて、皆で食事をする機会を設けましょうか?」
「......馬鹿騒ぎになる予感しかしねえが、仕方ないか」

酒の席での惨劇を思い出したのだろう、アドルフは苦い顔をする。
だがそれでも断らない辺り、皆との交流を楽しんでいる証拠だろう。

「ここまでしてもらったんだ。他の連中の時も何かしら返さないとな。
次に誕生日を迎えるのは......お前だったか。今から楽しみにしておけよ」
「そんな、私のことはいいのよ。
普段からアドルフには、たくさんお世話になってるし......
それよりも他の人の誕生日のことを――」

この短い間で知り合った知人や友人の顔と誕生日を一つ一つ並べ――。
はた、とセレスは一つの違和感に気がついた。

「あら? そういえば――私、アンクゥの誕生日がいつなのか、知らないわ」
「......俺もだ。だがあいつは、冥界から来た死の番人だからな。誕生日そのものが存在しないんじゃないか?」
「あったとしても、冥界とこっちでは暦も違うかもしれないものね......でも......」

彼の誕生日だけないままなんて、寂しい気がする、とセレスはここには居ない番人を想い空を見上げた――。


* * *


――翌日、富裕区(シュディ)のクロード邸にて。

「――『冥界の住人の誕生日』、ですか?」
「はい。もしかしたらマティスくんなら、何か知っているかと思って......」

クロード家の屋敷を訪ねたセレスは、ジャンが淹れてくれた紅茶を飲みつつマティスへとダメ元の質問を投げかけた。
マティスはセレスの質問にうーんと首を傾げ、一度自室へと向かい、数冊の本を手に戻ってくる。

「え、ええっと。冥界の暦や誕生日の有無は......残念ながら分かりません......。
冥界以外の......歴史に名前を遺す神様や妖精なども、誕生日が判明している存在は滅多にいませんし......」
「やっぱり、そうですか......」
「アンクゥさんなら『姫君に一番に祝ってほしい』と、セレスさんに自己申告しそうですからね。
口にしないということは――。やはりそういった概念とは、縁がないのでしょう」
「うん。その可能性が高いと思う......」
「......でも私、アンクゥの誕生日だけお祝いできないのが......なんだか寂しくて」

憂いの顔をティーカップに落とすセレスに、クロード家の主従は全く同じタイミングで顔を見合わせた。そして、

「あ、あの......! アンクゥさんの誕生日は、わかりませんけど......!」

言ってマティスが取り出したのは、一冊の本。

「この、外から流れ着いた本によると。外の国には、12月25日に【とあるお祝い】をする文化があって――」
「............?」

マティスが小声で噛みながらも告げた、その内容に。

「まあ......! それはとっても素敵な文化ですね......!」

セレスは花が綻ぶような笑みを浮かべ、とある素敵な催しを脳内で紡いだのだった。


* * *


――12月25日。朝。アルペシェールの四方を覆う、リコリス・ノワージュの花畑にて。


「..................」


冬特有の空気も意に介さず、災いの花のベッドで眠る、死の番人の姿がある。――そこに。

「アンクゥ、アンクゥ――!」
「む......この声は、姫君かい......?」

小さな足音と共に聞こえてきた名を紡ぐ愛らしい声に、アンクゥの意識は一瞬で目覚めた。
ゆっくりと目を開けば――。自分の傍に膝を付き、顔を覗き込む少女の姿がある。

「――やあ、姫君。目が覚めて一番に見るのが君の愛らしい顔とは......。素晴らしい一日の始まりだ」
「私としてはこんなに寒いのに、いつもの服のまま眠っているアンクゥの姿に一瞬ヒヤッとしてしまったのですが......」
「はは、私は肌が青白いからね。死者にでも見えてしまったかな?」
「もう、不吉なことを言わないでください」

むくれるセレスに、コロコロと笑いながらアンクゥは身を起こした。

「いつものようにリコリスたちと戯れに来た......というわけではなさそうだ。
もしや、私に会いに来てくれたのかい?」
「あ、はい。その......アンクゥにお願いがあって」
「おや、君がおねだりをしてくれるとは珍しい。
遠慮せずに言ってごらん、君の願いならば、この身で叶えられるものはすべて叶えてみせよう」
「あ、ありがとうございます。ではお言葉に甘えて――」


「アンクゥ、今日一日――あなたの時間を私にくれませんか?」
「............?」

思わぬ願いに、アンクゥはキョトリ――と。真紅の瞳を見開いて驚いた。


* * *


高く結い上げられた髪。アドルフから借りた部屋着。
手元には心地よい小麦の香りを放つ焼き菓子。

「......まさか現世で、菓子作りをすることになるとはね。永き生、何があるかわからないものだ」
「でも、初めてとは思えないぐらいよく出来ていますよ」

焼き上がったばかりのクッキーを手にして、セレスは味見用の一枚をアンクゥへと差し出した。
些か戸惑ったあと、アンクゥはそれを受け取り、一口で含んだ。

「......ああ、優しい味だ。きっと姫君の教えが良かったのだね。
私は滅多に料理をしないから、一人ではきっと酷い焼き上がりになっていただろう」
「冥界に料理の文化はあるんですか?」
「......ないね。在るものを嗜好品代わりに食すという概念ならばあるのだが......」
「なら長生きしているアンクゥにとっても、料理は未知の経験ということですね。
なんでも知っているあなたに何かを教える日が来るなんて――ふふ。なんだか不思議な感覚です」
「私もだよ。君を導くはずの死の番人も、数多の食材の前では逆に、導かれる側に様変わりだ」

クスクスと笑いながら、お返しとばかりに一枚をアンクゥがセレスへと差し出した。
彼女もまた戸惑いなく、小動物を彷彿とさせる小さな口で食(は)む。

「......うん、すごく美味しい。あとで紅茶と一緒に改めて頂きましょうか」
「それは魅力的なお誘いだ。
......しかし姫君、こんなにも大量に焼いてどうするつもりだい?
二人で消費するには、些か多すぎると思うのだが」
「それはそうですよ。私たちの分とはまた別に、特別な【贈り物】にするために、焼いたんですから」
「......?」

時計を見る。まだまだ一日は始まったばかり。アンクゥからもらった【時間】は終わりを告げていない――。


* * *


焼き菓子を幾つかの籠に分け、死神の少女は死の番人を共にし、アルペシェール中を歩き巡る。


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「――お、来たな!」
「いらっしゃい、二人とも! 話はマティスから聞いてるよ」

状況が飲み込めないアンクゥを引き連れ最初に訪れたのは、便利屋(クルーン)。

「アンクゥ、さっき小分けしたクッキーをお二人に渡してくれませんか?」
「――ああ、なるほど。道理で多いと思ったら、皆に分け与えるために焼いていたのだね」
「ふふ、当たらずとも遠からず......です」

承知したとアンクゥは頷いて、イヴとヒューゴにクッキーの入った紙袋を渡した。

「ありがとう......! うわあ、いい香りだなぁ、今から食べるのが楽しみだよ......!」
「姫君が心を込めて作ってくれた焼き菓子だ。ゆっくり味わってくれたまえ」
「それは、もちろん。――それじゃあ俺たちからも、これを」

小袋を二つ失った代わりに、傍らにあった二つの荷物が、アンクゥへと手渡される。

「......? これは......?」
「クッキーのお礼だよ。俺からは、綺麗な細工の髪留め。どんな髪の色にも合うと思うから、気軽に使ってみて」
「俺からは折り畳み式の釣り竿だ。二人とも、よく海沿いにあるリコリスの花畑に行くんだろ? よかったらこれでのんびり釣りを楽しんでくれ」
「おや、随分と大きな返礼だ。だが姫君への厚意とあらば、ありがたく受け取っておくべきだね」
「え? あ――そ、そうですね......?」

同意を求められ、何故かぎこちなく笑うセレスに疑問を抱きつつ。
彼女の荷物にならないようアンクゥは贈り物を受け取る。

「これからまた、別の場所へ向かうのか?」
「はい、次は病院にいる先生たちへおすそ分けに行こうかと」
「そっか――きっと喜んでくれると思うよ」

パシャリ――と。水槽にいる丸い魚も、アンクゥたちへと手を振るように尾びれを動かしていた。

「..................」

そんな魚に続くように、イヴはアンクゥと隣に立つ彼女をじっと、見つめたあと――。快活に笑った。

「またね。アンクゥ、セレス。――二人にとってよき一日でありますように!」


* * *


――二人の小さな旅は、まだまだ終わらない。

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「――はい、どうぞ。ナディアの分はカプシーヌさんから教えてもらった病院食を元にしたレシピで焼いたものだから、食べても大丈夫なはずよ」
「嬉しい......!
お友達から手作りのお菓子をもらえるなんて......わたし、生まれて初めてよ。
ずうっと宝箱に仕舞っておいたらだめかしら?」
「気持ちはわかるが、傷む前に食べるのが作ってくれた二人への礼儀だよ? ナディアくん」
「やっぱり......?」
「ふふ、兄様もナディアの気持ちがよくわかりますよ。
――この子のためにありがとうございます、二人とも。
ナディアが食べられるお菓子を――と私も以前、挑戦したことがあったのですが......。
どうにも上手くいかなくて」
「存外、焼き加減が難しいからね。私も何度か失敗してしまったよ」
「ええ。それに生地を練る時も、すぐに料理器具ごと壊れてしまいますからね。
日頃から子供たちのために美味しい料理を作っている、
セレスくんやサロメさんの偉大さがわかります......」
(......調理器具ごと壊れる......?)

「セレス、死の番人さん。今日は素敵な贈り物をありがとう――これは、わたしからのお礼」

――パラッ。

「あなたたち二人がリコリスの花畑で一緒に過ごしている姿を想像して、お絵描きしてみたの。
......似ていなかったら、ごめんなさい」
「――いや、そんなことはない。
姫君の美しさと愛らしさが、とてもよく再現されている。
......冥界に持ち帰りたくなるほど、良い出来だ」
「ええ、本当に――。特にこのアンクゥの笑顔、とっても綺麗だと思うわ」
「うふふ、喜んでくれたならよかった。わたし、この日のために一生懸命練習していたの」
「......今日のために? 練習?」
「んんっ......! では私からは、こちらの手鏡を。
髪を手入れするときやまとめる際に、ぜひ使ってください」
「私からは、患者に配っている手帳を。
これに食生活や就寝時間をこまめに書き込み、健やかな肉体を維持できるよう自己管理を徹底するように」
「ありがとうございます。――アンクゥ、籠の中にまだ入りますか?」
「ああ、問題ないよ」
(......先ほどとまったく同じ流れなのだが......ただの偶然か?)


* * *


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「お、お菓子、ありがとうございます......。
焼きたてのものを食べる機会は滅多にないから......すごく、嬉しいです」
「冥界の住人手ずから焼いた菓子とは......
ふふ、こんな体験ができる人間は、俺たちだけかもしれませんね? 坊っちゃん」
「う、うん。貴重なものをもらったお礼、ちゃんとしないと......」

ドサッ!

「君たちもかい......!?
焼き菓子を渡す度、逆に荷物が増えていっている気がするんだが......!」
「まあまあ、そう遠慮なさらず。
俺からは紅茶の茶葉を入れておきました。
――大事なお嬢さんに、ぜひとも美味しい紅茶を淹れてあげてください」
「ぼ、僕からは......使いやすいペンとおすすめの小説を。
て、手紙を書く時とかに、便利だと思うので......ぜひ使ってください」
「まあ、素敵なお返しですね。――アンクゥ、帰ったらこのペンで皆へのお礼の手紙を書きませんか?」
「あ、ああ。それは構わないが――」
(アルペシェール国内で、物々交換でも流行っているのか......? そんな記憶、残っていないが......)


* * *


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「――菓子ならその辺りに置いておけ、今晩、夜食代わりに消費しておく」
「消費......。わざわざ手渡しに来てくれた姫君に対し礼の一言もないとは......。
これだから、情の欠片もない非人間は――」
「勝手に焼いて勝手に押し付けに来たのはそっちだろう。礼を言う義務なんぞ、俺にはない」
「..................」
「んもう、シアンさんってば!
わざわざ差し入れしに来てくれた人相手に喧嘩を売るとか、どういう神経してるんですかぁ?」
「アンクゥも、どうか怒らないでください。約束もなしにお邪魔してしまったのは、本当のことですから」
「しかし......」
「うちの多方面に傲慢失礼な上司がすみませんですぅ......。
クッキーは僕がシアンさんの分までありがとうの気持ちを込めて、美味しく味わわせてもらいますからね......!」

ガサゴソ......。

「――というわけで、はい! お礼としてティーカップをプレゼントしちゃいまーす!
研究区(セルネヴォル)で作られただけあって、ものすっっっっごく丈夫ですから、壊れる心配もナシ★
バンバン使っちゃってくださーい!」
「............ああ、うん。今までの流れからして、こうなると思っていたよ」
「............え? あ、そ、そうですね!
こんな一斉に贈り物を頂けるなんて、不思議な偶然があるものですね、アンクゥ......!」
(いや......明らかにこれまで会った皆で示し合わせているようなのだが......)

「――シアンさん、シアンさんからは何かないんですかあ?
人からの厚意をもらいっぱなしで終わらせちゃ駄目ですよ~」
「............面倒だな。研究室の隅に、王族が押し付けてきた装飾品があるだろう。
そこから何か適当に見繕って持っていけ」
「いやそれはさすがに高価過ぎですっ!
もらう側もとんでもないプレッシャー感じちゃいますからね!?」
「なら、そこにある小型の治療箱でも持っていけ。
そこの死神の娘は運がないからな、緊急時に備え持っているにこしたことはないだろう」
(彼女に危害を加える可能性が最も高いのは、君だろうに......)
(ボス猫に遭遇した猫みたいな顔してる......)


* * *


――結局。
なぜクッキーの代価として様々な贈り物が渡されるかの謎を、アンクゥは解くことができず。

アルペシェールを一周しているうちに夜も更け、アンクゥはセレスと共に施設へと戻ってきた。
中へ続く扉の前に荷物を置いて、ようやく一段落のため息をつく。

「はぁ、はぁ......!」
「に、荷物を全部持たせてしまってごめんなさい、アンクゥ。やっぱり重かったですよね......?」
「いや......持つと言い出し、頑なに譲らなかったのは私だからね、君が気に病む必要はない。
......さすがに荷物が出た時よりも数倍に膨れ上がるとは思わなかったが......」

だが、悪くない重みだ。

――今の彼女にはこんなにも、【贈り物】を贈ってくれる友人が増えたのだと――。実感することが出来るから。

「ふふ......我が姫君は、皆から愛されているね。
だが――いつ誰にその心が奪われるか......気が気ではないよ」

本音をほんの少し込め、だが隠すように、冗談混じりで言えば――。

「..................」

セレスの足がピタリと止まり。彼女は振り返ると共に、微笑んで――。

「違いますよ、アンクゥ。この贈り物はすべて――私ではなく、アンクゥのものです」

優しい視線と声色で、告げる。その予想外の内容に、アンクゥは目を瞬かせた。

「............どういう意味だい?」
「その――実はこの間、アドルフと話しているとき、
アンクゥの誕生日を知らないことを思い出したんです。
でも冥界の人にそういった概念があるかもわからないから、あなたに直接尋ねる事もできなくて......」

誕生日、とアンクゥはその言葉を初めて聞いたというように繰り返す。

「そんな時に、マティスくんから――。
今日この日、外の国ではとある聖人の誕生を祝うために宴を開き、
時には親しい人同士で贈り物をし合う――と、教えてもらったんです。
だからその日に合わせてアンクゥのこともお祝いできればな......と思って。
......皆さんにあなたへの贈り物を用意してもらいました」

なるほど。その結果がこの贈り物の山か......とアンクゥは荷物を見下ろした。

「迷惑、でしたか?」
「いや、そんなことはない。
姫君の優しさと皆の心遣い――嬉しく思う。
だが――私はこの国の【死】を司り、時には冥界へと誘う番人。
聖人とは程遠く――......むしろ正反対の不吉な存在だと思うのだが......」
「そ、そんなことありません!」

背筋を伸ばし言うセレスに、アンクゥは面食らった。

「他の人やあなた自身がなんと言おうと、
私にとってアンクゥは......。
身勝手な自死を止め、たくさんの友人を作るきっかけをくれた――大切な人......幸福の象徴です」

それに、とセレスは徐々に冷えつつある空気で息を白く染め、アンクゥを見上げた。

「私はいつもアンクゥに、この呪われた命を――大切にしてもらっているから。
今度は私が、アンクゥが生まれたことを、肯定したかった......」
「..................」

どこからか吹いてきた、黒きリコリス・ノワージュの花弁が周囲に舞う。
セレスはその花々の動きに合わせて、アンクゥの手を取り――。

アンクゥのやや冷たい掌へと、【とある物】を手渡した。

「............これは......?」
「その――。マムに教わりながら作ってみた、首飾りです」

ちょん、と彼女は自分の首元に撒かれたチョーカーを指さす。

「私のチョーカーについている青い石と同じもので、作ってみました。
アンクゥが――私の......私だけの死の番人さんである証明に......できればいいな、と」
「――............」


恥ずかしげなセレスの言葉に。
アンクゥの瞳に宿る波紋と、耳飾りが揺れる。
セレスは頬を赤く染めつつも笑顔と共に顔を上げ、大事な【家族】に向かい――万感の想いで、告げる。


「――アンクゥ。
この広い世界で――私という小さな同胞を見つけ出してくれて、ありがとう」


「――【アンクゥ】として生まれてきてくれて、本当にありがとう――」

その、言葉に。

「――――......っ」

アンクゥの顔が苦しげに歪み――。
だが彼は、瞳に浮かびかけた雫を決して形にはせず。

手渡された首飾りを優しく握り――自分の首へと誘うことで応じた。


「――......ありがとう、私の大事な......セレス」

チャリ、と、鎖を結ぶ音がする。

「私こそ......あらゆる理不尽に晒されながらも、
懸命に生き延び――私と巡り合ってくれた君に......何度感謝を贈っても、贈り足りない。
この首飾りを契約の証とし――。改めて、君自身に誓おう」

顔を上げたアンクゥの首元には、セレスの祝福が形となった青い石が、キラリと揺れる。
そして似合うと微笑んでくれている彼女の手をそっと取り――。

「これから何十年、何百年経とうと――私は、君だけの死の番人だ。
君が望む幸福を手に入れる、その時まで......どうか、傍に置いておくれ」


――手の甲へと、誓いの口づけを落とす。そんな彼に向かってセレスは――満面の笑顔で。


「はい、こちらこそ――よろしくおねがいします......!」

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契約の証を身に着けたアンクゥとセレスは、
少しばかり顔を冷やしたあと、荷物を手に施設の中へと入っていった。
そこで、待ち受けていたのは――。


「――まあまあ、遅かったわね。セレス、死の番人さん。
ご馳走の準備はできているわよ
今日は特別な日だっていうから、腕によりをかけて作ってみたわ」
「......アンクゥ。とっとと座れ。
そろそろイヴたちも来るからな、入り口に突っ立ったままだと、邪魔になる」


テーブルいっぱいに並べられた料理。温かな湯気を上げるできたての料理。当たり前のように出迎えてくれる【家族】――。


「..................」
「ふふ、驚きました? 贈り物以外にも、ちゃんとお祝いをしようって――。
マムと一緒に準備していたんです。このあとイヴたちも、改めてお祝いに来てくれますよ?」
「シアンが来るかは、微妙なところだがな......」
「大丈夫よ、確かイヴさんが――。
『なら参加できない分、自分がご馳走を作ってシアンさんに持って行きます』と言ったら、
二つ返事で了承したと......ジャンさんが言っていたし」
「国の最高権力者も、あいつの料理に屈しつつあるな......」


アンクゥに対して辛辣なアドルフは、渋々と言った様子だが――。
手伝ったということ自体は否定しない。


「では私も今から、シチューを作りますね。
今日のために、特別な味付けを研究してみたんです......楽しみにしていてください」


皆の訪問が楽しみなのか――。
セレスは踊るような足取りで、サロメと共に厨房へと向かった。
普段拠点としている住処とは真逆の――温もりと色に溢れたその光景に、
未だ呆然としているアンクゥに向かって。


「――――......受け取れ」


細長い【得物】を、アドルフが投げつける。不意打ちで投げられたそれを、アンクゥは反射的に受け取った。


「貧弱なお前でも扱える、軽めの剣だ。セレスのことを守りたいと願うなら、それで鍛錬しておくんだな」
「......余計な世話だが、一応受け取っておこう。しかし......姫君が願ったこととはいえ、君が私に贈り物とは......。明日はアルペシェール全土に血の雨が降り注ぐのではないかな?」
「......お前が言うと洒落にならないからやめろ」

料理が並ぶ食卓。

暖炉の灯る部屋。

無愛想なアドルフ。

厨房で楽しげに料理をするサロメ。

そして――彼女と共に笑うセレスの後ろ姿。

それらをまるで眩しいものを見るような目で眺めたアンクゥは――彼女から贈られた首飾りを静かに握り込んで、
一人呟いた。

「......やれやれ。
私はただ、彼女が【普通の幸福】を手にした瞬間を目にできれば――それでよかったのだが」


こんな、逆に――。


「身に余るほどの幸福を、与えられてしまうとは......。
......困ったな。......これではいざというとき、手放し難くなってしまう......」

誰にも聞こえない呟きを零したアンクゥの背後にある扉を、
招待されたイヴたちがお酒を片手に賑やかに開くまで――あと5秒。

「ふふ。息子が増えたみたいで、なんだか楽しいわ。
あ、そうそう。アドルフと仲が良くて身長も同じだって聞いたから、
二人おそろいのお洋服を作ってみたのよ。
よければこの場で着てみてちょうだい?」
「アドルフとアンクゥの、お揃い......! 私もぜひ、見てみたいです......!」
「「............!?」」

最後に予想外の贈り物を贈られ――。
目を輝かせてお願いする母娘に断りきれずその衣装に袖を通し。
ジャンに記念写真を撮られるまで――あと1時間。

―END―

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本作のメインライター・中山氏書き下ろしの特別SS......いかがだったでしょうか?
「クリスマスだし書き下ろし......ほしい、な......(チラッチラッ)」とご相談したら、快くOKしていただきました!

一日早いですが、クリスマスにちなんだ贈り物の物語。何を贈ったら相手が喜んでくれるかな? と考える時間ってとても楽しいですよね。それも贈り物の醍醐味じゃないかと思っています。

そして『終遠のヴィルシュ』を皆様にお楽しみいただければ、それがスタッフへの最高のクリスマスプレゼントです。
今日と明日、ぜひ皆様も大切な人に贈り物をしてみてくださいね。

以上、クリスマス特別企画の書き下ろしSSでした!

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皆様、いつも温かいメールをお送りいただきましてありがとうございます。
最近ご紹介が滞りがちになっていてすみません......本日、何通かご紹介させていただきますので、どうぞよろしくお願いします。

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匿名希望 様

終ヴィル、とても楽しく遊ばせていただきました!最高の作品をありがとうございます。

シアンさんのルートを見ているとサンドイッチが食べたくなりますが、食べながらプレイしているとなぜか食べきれません。
ところでもしアルぺシェールに存在していたとしたら、シアンさんはコーヒー派と紅茶派どちらなのでしょうか?

お酒のイメージからして勝手に紅茶派で、カフェインに頼るより薬を打ち込む人だと思っています。


匿名希望さん、メールありがとうございます。
楽しくプレイしていただけたとのこと、よかったです!

シアンルートはサンドイッチがよく登場しますからね......量が多いから食べきれないのではなく、ゲーム画面に夢中になっているからと、理由を勝手にいい方に想像させていただきますね!

さて、頂戴しているご質問ですが......正直これは難しいですね。強いて言うなら、【どちらでも構わない】です。
まず飲み物を嗜好品として考えていないので、喉が渇いた時に潤せればいい。それに味や成分があるかどうかの違いといったところでしょうか。
仰るように経口摂取よりも直接打ち込むタイプですので......。
アルペシェールにあったとして、彼が飲むとしたら意外かもしれませんがココアかもしれませんね。栄養価が高く、「疲れたときには甘いのもの!」というくらいですから!
(生存年数を考えると日本茶も捨てがたいとこっそり思いましたが......笑)

メール、ありがとうございました!

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匿名希望 様

『終遠のヴィルシュ』、発売おめでとうございます!
情報解禁時から、心待ちにしていました。
発売日からプレイし始め、寝る時間すらもったいない!と、毎日夢中でプレイしています。

つい先ほど、とある救済エンドに辿り着きました。
ここまで辿ってきたいくつもの絶望を越えて、こんなにも素敵な「救済」があるのか...と、涙が枯れるくらい泣いてしまいました。
他にも救済したいキャラたちがいるのですが...居ても立っても居られず、勢いのままこのお便りを書いています。

『終遠のヴィルシュ』の絶望エンドは、ただ切ないだけのバッドエンドではなく、セレスや彼らの思いが痛いほど伝わってきて、その分心が抉られることも多々ありましたが、一つ一つがとても美しいな...と感じました。
(ちなみに私は、最初にシアンと絶望しました。結末だけでなくその過程でも絶望し続け、「なぜ......どうして.........」と、日常生活に支障をきたすレベルで沈んでしまいました...。)
彼らにどんな「救済」が待っているのか、とても楽しみです。大切に、大切にプレイしたいと思います。

こんなにも美しく素敵な『終遠のヴィルシュ』という作品に出会うことができて、幸せでいっぱいです!
この先ずっと、何度でもプレイし続けたい作品になりました。

そして私は強欲なので...もっともっとセレスと彼らの物語を見てみたいです!
『終遠のヴィルシュ』がたくさんの人に愛され、この先も新たな物語に触れることができますように。

最後になりますが、『終遠のヴィルシュ』を生み出してくださり、本当にありがとうございました!
『終遠のヴィルシュ』、大好きです!!!


匿名希望さん、メールありがとうございます!
数々の絶望の果て、救済に辿り着いてくださったとのこと、感無量でございます。ご紹介している現在ではすでに全員を救済してくださっているかもしれませんが、どうぞ全員が辿り着いた救済を見届けていただければ嬉しいです。
そして全ての真相を知ったあと、また何度でもプレイしていただけたらスタッフ冥利に尽きます。

先日発売された『オトメイトスタイル Vol.7』でありがたくも終ヴィルについてお話しさせていただく機会があり、そこでもお伝えさせていただいたのですが......。
本作、現在水面下で暗躍しているものがあります。まだ詳細をお伝えすることはできないのですが、少しでも皆様の期待に応えられるように鋭意準備を進めていますので、ぜひお楽しみにしていただければ幸いです!

メール、ありがとうございました!

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本日のご紹介は以上となります。

引き続き、皆様からのメールをお待ちしておりますので、
よろしければ以下の画像から、皆様のお声をお届けくださいませ!

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※お名前の掲載の可否を明記いただけますようお願い申し上げます。
 書かれていなかった場合は、すべて「匿名希望」とさせて頂きます。
※すべてのメールをご紹介させて頂くことはできません。
 ご了承くださいませ。

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思っていた以上に大ボリュームな内容になってしまいましたが、皆様にお楽しみいただけていればとても嬉しいです。

クリスマスという一年に一度の日。こんな特別な日には、もしかしたらアルペシェールの彼らから、皆様へ何か贈り物があるかもしれません。
どうぞ本日の夜も――お楽しみに。

さて、おそらく本年のブログ更新は今回が最後となります。次回更新は未定ですが、何かお知らせがあればすぐにやってきますので、その時はどうぞよろしくお願いします!

それではまた次のブログでお会いしましょう!

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