オトメイトスタッフブログ

ワンド オブ フォーチュン R 第1回


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「あれ、ノエル。なんかすごい顔してるけど、どうかしたの?」
「......ユリウス。僕は今、とても複雑な気分だ」
「? よくわからないけど......確か今日は魔法具店の初売りだからって
 朝からすごく張り切ってなかった?」
「ああ、そうだ。だが見てくれ。これが僕が買った【福袋】の中身だ」
「............。羊皮紙に朔月草、プチエリクシル、テクニギ茸、魅了の花......」
「......それを見て何か思うところはないか」
「えーと......、すごく普通だ」
「そうだ! 普通なんだ! ありきたりで何の害もない普通すぎる中身だ!」
「でも使えるものばかりだし、別に買って損はない感じはするけど......」
「だから問題なんだ......」
「? なんで?」
「僕以外の者が買った福袋は、大ハズレの商品もあれば大当たりの商品もある、
 もっと起伏の激しい中身だったんだ! なのに、僕の福袋ときたら――」
「ハズレてないなら別にいいんじゃないの?」
「他の皆が『当たったー!』『外れたー!』と楽しそうにしている中、
 僕だけが『普通だ...』と呟いたその時の気持ちがわかるか」
「うん、ごめん、全然わからないかも」
「ああそうだ、おまえのようなデリカシーに欠ける男にはわからないだろう。
 だから言ったんだ、僕は今とても複雑な気持ちだ、と......」
「新年早々ハズレをつかむよりは、普通の方がマシなんじゃないかな。
 うん、いいと思うよ、普通。ノエルが普通ってすごいことだよ!」
「ええい、普通普通言うな! 天才たる僕に普通が似合ってたまるものか!
 もういい、おまえに話した僕が馬鹿だった! 部屋に帰る!!」
「あ、ノエル......」

「いつもハズレ商品ばかりつかまされてるから、感覚が麻痺してるのかな?
 うーん、意味がわからない......」



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