「猛獣使いと板」
こんにちは、【猛獣使いと王子様】ディレクター、
デザインファクトリーの中村です。
先日、ついに林檎の板を購入しました。
さすがにまだ珍しいのか、駅で使ったりすると周囲の視線が自分(の持っている板)に釘付けです。
この何とも言えない優越感。堪りません。
新しい商品に特攻した者のみが得られる特権というやつですね。
対応アプリ、オトメイトも何か作らないかな……。
いや、むしろ俺が作れという話か。
……すいません、自慢したかっただけです……。
さて、今日のメインはルシアの番ですね。それではどうぞー。
~前回までのあらすじ~
容赦ない質問でアルフレートを凹ませるクラウス。
そして法王に呼び戻されたクラウスは、質問状を置いて城へ帰ってしまい──!?
マティアス
「ん? クラウスはどうした。帰ったのか?」
アルフレート
「ああ、ついさっき城の兵士が連れ戻しに来たが」
マティアス
「それは何よりだ。いつまでも居座られると空気が悪くなるからな」
エリク
「ふふ、マティアスって、ホントにクラウスが苦手なんだね」
ルシア
「ていうか、珍しいよなぁ。マティアスがあそこまで誰かを嫌うのって。
ザルディーネ留学中に、なんかあったのか?」
マティアス
「妙な詮索をするな。あいつを追い払おうとしたのは、他に理由がある」
ルシア
「は? 他の理由?」
マティアス
「わからないのか? ティアナがなんのために出かけていると──」
ルシア
「ああ、そう言えば……って、やべぇ、この光は……!?」
ボフン
エリク
「う、うわぁ! 元に戻っちゃった……!!」
アルフレート
「そう言えば、そろそろ効果が切れる時間だったな」
マティアス
「まったく、クラウスに見られたらどう説明するつもりだったんだ」
ルシア
「まぁまぁ、いいじゃねーか、ちょうどいなくなってくれたんだし」
エリク
「それよりルシア。どうする? クラウスから預かった質問状……」
ルシア
「げっ、しまった。この格好じゃ、字が書けねぇじゃねーか!」
アルフレート
「とりあえず、内容だけでも確認しておいた方がいい」
マティアス
「そうだな。カトライア中の熟女から、
一体どんな質問が寄せられたのか、俺も非常に興味がある」
ルシア
「熟女とか言うな!
言っとくけど、オレにはそういう趣味はねーからなっ!!」
エリク
「ねぇアルフレート。そういう趣味って?」
アルフレート
「子供は知らなくていいことだ」
マティアス
「ではさっそく、ひとつ目の質問だが……
“太りやすい体質なのを気にしているそうですが、
体型が気になるなんて、意外とお洒落には気を遣うんですか”」
ルシア
「い、意外とってなんだ意外とって!
一応オレだってファザーンの王子なんだ。
見た目を気にしちゃいけねーのかよ!」
エリク
「ルシアの場合は、お洒落って言うより、
また元の体型に戻るのが怖いだけだよね?」
アルフレート
「ああ。あの頃のルシアは、丸々としていたからな……」
マティアス
「今更見た目など気にしたところで仕方がない。
育ち盛りなんだ、好きなだけ食えばいいだろう」
ルシア
「な、なんだよ急に。
普段は食い過ぎだって怒るくせに」
マティアス
「事情が変わったからな。
十分肥えさせて肉屋に売り払えばいい金になりそうだ」
ルシア
「なっ……!?」
アルフレート
「なるほど。それはいい案だな、マティアス」
エリク
「だ、だめだよ2人とも! 冗談でもそんなこと言うなんて……」
ルシア
「オレ、今日から断食する……」
アルフレート
「そういう痩せ方はよくないぞ、ルシア。
食べた分だけ動けばいいだけの話だ。
お前の場合はそもそも常日頃運動不足で、栄養の摂り方も──」
マティアス
「その話は後にしろ、アルフレート。さっさと次の質問に行くぞ」
エリク
「じゃあ、僕が読んであげるね。ええと……
“ルシア殿下は、他の王子たちに比べて口が悪いと思います。
もう少し王子らしくできませんか?”」
ルシア
「大きなお世話だっ!!」
エリク
「ぼ、僕に怒鳴らなくても……っ!」
マティアス
「これは質問というよりダメ出しだな。
だが、普段王族らしくしていないルシアに非がある」
エリク
「で、でも、話しかけやすくていいって人もいるよ?」
マティアス
「そうだな、主に熟女からは、その点が好評らしいが」
ルシア
「オレ、もう人前で話すの止める……」
アルフレート
「そう言う問題じゃないだろう、ルシア。
そもそも王族としての気品というのは、常日頃の──」
マティアス
「説教は後だ、アルフレート。
では最後の質問だが……」
ルシア
「どーせまたろくでもねぇ質問なんだろ?」
マティアス
「“ルシア殿下は他人の弱みを握るのが得意だと聞きましたが、
ルシア殿下の他人に知られたくない秘密ってなんですか?”」
ルシア
「なっ……!?」
アルフレート
「ルシア……お前はまたそんなことをしているのか」
ルシア
「またってなんだよ! 全然身に覚えがねぇ!
ていうか誰だ、そんな噂を流したのは!
エリク、お前か!?」
エリク
「ち、違うよ! 僕そんなこと言ってないよ!」
マティアス
「それより、ルシアの他人に知られたくない秘密の方が気になるな」
アルフレート
「ああ、確かに……。一体どんな秘密なんだ?」
ルシア
「そんなふうに聞かれて誰が答えるかよ!
まったく、くだらねぇ質問ばっかよこしやがって、
カトライアってのはろくな人間がいねーんだな」
マティアス
「それには同意するが、確かお前の母親はカトライア出身だったな」
ルシア
「うぐっ……」
to be continued……
今週のオマケ