夏空のモノローグ その8

オトメイトスタッフブログをご覧の皆様、こんにちはー。
【夏空のモノローグ】担当、デザインファクトリーの一(にのまえ)ジョーと申します。

第8回更新です~!

さて今回も無事更新となりましたが……部屋暑っ!
むしむしというか、むんむんというか――暑いです。
ええ、とっても。

先週のブログ冒頭で梅雨云々と、
『梅雨?…………嫌いじゃないぜ』的なことを言ったというのに、
早速、蒸し暑さにやられています。
嫌いになりそうです。

……ああ、暑いィ。
ジョーの席だけなのかしら。
というわけで、団扇ぱたぱたしつつ、
本日の【夏空のモノローグ】blogスタートです~。
 

『夏空最新情報』
さてさて、最新&既存共にご連絡させていただきますよ~。

■B's-LOG様
6月19日発売号、既にGETしましたでしょうか?
今月号にも書きおろしss&ろく丸の新作イラストがございますので、お見逃し無く!
沢野井&浅浪の魅力満点です!

また今回の【夏空のモノローグ】キャストインタビューは

・沢野井宗介 役 :高橋伸也 様
・篠原涼太  役 :代永翼 様

のお2人となっています。
キャラクターに命を吹き込んでくれた、お2人の生の声を是非ご覧下さい!

その他、イベントの一部シナリオの紹介なども掲載されていますので、
そちらもあわせてチェック~。

 

■公式サイト
公式サイト 6月25日更新の先行告知です!

・『製品情報』
各店舗様にて予約特典としてオリジナルドラマCDが添付されます!
いずれも【夏空のモノローグ】らしい、自然と笑顔になるような内容にし立てています!

 
以上、『夏空最新情報』でした~。
そして今日はssへ移行する前にスタッフコメントがあります!
なんと忙しい中、ろく丸がコメントをくれました!
……ありがたや、ありがたや~。
では!
 

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こんにちは、ろく丸です。
部員達はトラブルメーカーの部長にいつも振り回されて大変そうですが、
制作側も彼に振り回されてました。主に原画の自分と彩色担当が(笑)
「発明したのだ!」とか「完成したぞ!」というセリフに戦々恐々とする日々でした。
今度は何を描かされるんだ!?と。
その反面、シナリオの流れにワクワクしてましたけどね。
B's-LOG 8月号の書き下ろしショートストーリーでもしっかりやらかしてくれたので
チェックしてみてくださいね。

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おや……もう一枚あるようです。

 

 

 





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ろく丸、ありがとう!可愛らしい沢野井でした!
――なんで一枚は鼻メガネかって?

……。
…………。

じ、実験じゃないですかね、多分。 natu_line01.jpg

 
さて!
ろく丸のスタッフコメントのお次は、毎週書き下ろしssです!

体験版をまずはぜひプレイしてみてください。
このssはループする7/29、その中のワンシーンとなっています。

毎度毎度違ったテーマによって、
【夏空のモノローグ】の世界を紹介していく形となります。
ギャグもあればシリアスもあり……これらもまた、
紛れも無い【夏空のモノローグ】の一部ですので見逃すことなく、
毎回読んでいただければ幸いです!

今回のお話は陽炎揺らぐ坂道が舞台。
それでは早速……夏空webss第4回、スタートです!



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【連載webss第4回 あの坂道の向こう側】

「相変わらず暑いな……」

もう何度目の7月29日なのか、数えるのもやめてしまった。

その日の俺は、右手に花束を持ち、坂道をひとりで上がっていた。

朝、空を流れていく雲を見ているうちに、ふと両親の墓参りに出かけようと考えた。

小さく息をつき、前方を見つめる。

アスファルトで整備された坂道は、午後の強い日差しに白く浮き上がって見えた。

遠くで陽炎が、ゆらゆらと揺らめいている。

この坂道を歩いているときはいつも、道を上るに連れ、なぜか現実が遠くなっていく気がする。

坂道の先には、何か別の世界があるような気さえする。

特に夏の暑い午後、包み込むようなセミの声を聞きながら歩いていると、

その錯覚はとても説得力があるように思えた。

まだ学生の頃、俺は幼い弟の手を引いてこの坂道を歩いた。

あの時、もうずっと泣きやまないのではないかと思うくらいに、弟は泣いていた。

どうしたらこいつは笑ってくれるんだろう。

そればかりを考えていて、自分が泣いていたかどうかの記憶はない。

俺がこいつを守っていこう。

そう強く思ったことを覚えている。

微かな風が通り過ぎ、梢が囁くような音を立てる。

いつの間にか道の真ん中に佇んでいた。

「……なんだかな」

どうにも感傷的になっていけない。

そんなことを考え、再び歩き出そうとしたとき――。

よく見知った人物が立っていることに気付いた。

「……なんだ、浅浪顧問ではないか」

「教師に向かって、なんだとはなんだ」

そんなことを言いながら、俺は笑みを作った。

現実に引き戻されたような気がして、少し安心する。

「……こんなとこで沢野井に出会うとはな、なんとも不吉だ」

「教え子に向かって、ずいぶんなものの言いようだな」

沢野井は一瞬だけ、視線を俺の右手にやった。

「墓参りか?」

「ああ、まあな。お前は?」

「僕は墓参りの帰りだ」

「……意外だな」

思わず呟いた言葉に、沢野井は片眉を上げた。

「何がだね?」

「科学バカのお前のことだからさ。
霊などいるわけがない! よって墓参りなど非効率的だ! なんてのたまうと思ってた」

「さすがは浅浪顧問だな。その短慮、初めて出会った頃から全く変わっていない」

「ふーん、どの辺が短慮なんだよ」

気を悪くするでもなく尋ね返す。

こいつの物言いにいちいち腹を立てていては、科学部顧問はやってられない。

「死者に対するあらゆる儀式は、死者のためにあるわけではない。残された者のためにある」

沢野井は無駄に元気に坂道を上がり始めた。

「おい、帰る途中じゃなかったのか?」

「君に付き添うと言っているのだよ。行かないのかね? 浅浪顧問。せっかくの花がしおれてしまうぞ」

「……気遣いどうも」

そう言って、再び歩き出す。

「さて、先ほどの続きだが、聞きたいかね?」

「聞きたくねぇ」

この暑さの中で、沢野井の騒がしい声を聞き続けるのは結構な拷問だ。

まあしかし、いつものように――。

「つまり、人は前ばかりを見て歩いていけるわけではないということだ」

俺の言葉が沢野井に届くわけがない。

「人は過去に縛られる。当たり前だ。我々の人格は過去の積み上げによって成り立っているのだから」

夏の暑さがそうさせるのだろうか。

沢野井の言葉はどこか、遠くから聞こえてくるような気がした。

「失ってしまって、もう二度と手に入らないものというのは、人を過去に留めようとする最たるものだ」

沢野井の言葉を右から左に聞き流しながら、あー、暑いなあなんて、俺は考えていた。

「だから我々は、何度も死者を弔うのだよ。
 もういない。もう失ってしまった。もう二度と会えない。
 そう自分に言い聞かせると共に、記憶の中に彼らが存在することを認識し、
 悲しむことはないのだと言い聞かせるために弔う」

セミの声と強烈な日差しが、再び世界から現実味を奪っていく。

そう言えば昔は、ここを親子で歩いた。

まだ弟は生まれていない。喪服に身を包んだ父と母、それから俺の3人。

確か祖父の法事だった。

その時はまさか、父と母の墓参りに弟と2人で行く日が来るなんて、夢にも思ってなかった。

「お前の言う墓参りの役割ってさ」

昔のことを思い出しながら、俺は尋ねた。

「どれくらい効果があるもんなんだ?」

「気休め程度だ」

沢野井にしては、静かで悲しい声だった。

「残念なことだが、同時に安心もする」

「安心? どうして」

「故人の存在が自分の【今】を縛ることに安心するのだ。故人を忘れられず、前を向けない自分に、安心する」

うまく説明できないが、と沢野井にしては殊勝なことを言った。

「ふーん」

お前は過去に縛られてるのか?

そう尋ねようとも思ったけれど、やめておく。

沢野井個人の問題だ。俺が知ったところで何もできない。

黙って歩き続ける。

坂の頂上まであと少し。

沢野井の話を聞いたあとだからだろうか。

坂の上に、昔の自分と弟の姿を見たような気がした。

弟は泣いていた。

俺は弟の前にしゃがみこんで、何も心配ない、兄ちゃんがいる、大丈夫だと繰り返していた。

一番途方に暮れていたのは、多分俺の方だったのに。

あれからずっと、俺は弟に支えられて生きてきたのだと思う。

「……浅浪顧問?」

沢野井の声に、ああ、と適当な返事をした。

もう幻覚は消えていた。

「先ほどからずいぶんぼんやりしているな」

沢野井の少し心配そうな声に、俺は笑った。

「こう暑いと、どうしてもな。おまけに暑苦しいヤツが横にいるし」

「なにおう!? 僕は涼風が服を着て歩いているような男だぞ! 一体どこが暑苦しいというのだね!」

「……全部だよ」

いつものような会話をしながら、坂を登り切る。

坂の向こうには別の世界がある。

なんとなくそんな気がしていたけれど。

実際に上がりきってみれば、変わらない夏の風景が続いている。

道は、丘に沿って曲がりながら遠くまで続いている。

空は青く、白い入道雲が彼方で輝いていた。

夏の日差しが照らすその風景には、遠くで揺らめく陽炎の他に動くものもなく、一枚の絵のようにも思えた。

左手で汗を拭う。

「ほんと……暑いよなあ……」

そう言って俺は、少し笑った。

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尊び、弔う。
それは故人のためでありつつ、自分のためでもある……。
少し先の話ですが、お盆の季節――大切な人の戻ってくる大切な時期。
その時にはジョーも彼らと同じことをしているかも、ですね。


さて、今週のブログはここまで!
また、お土産を置いてゆきますので、
ご自由にお持ち帰り下さいませ。
それではまた次回、皆様とお会いできることを願いまして――。


―ジョーでした。


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