ワリコミ!アーメン・ノワール

※1/13、「ワリコミ」カテゴリーから移動いたしました

こんにちは、【アーメン・ノワール】原画担当、デザインファクトリーのいけです。
前回のブログから数週間経ちましたがだいぶ寒くなりましたね。
ANキャラはインナーがノースリーブだったり裸だったりするので
こんな凍える時期はどんな工夫でやり過ごすのか地味に気になる12月、
今回も移植に関する情報をご紹介します!
記事の下のほうにはちょっとした企画もご用意していますよ……。

それでは、ANブログスタート!


■【ARMEN NOIR portable式サイトオープン!

ティザーサイト公開から約1ヶ月、ついに公式サイトがオープンしました。
公式サイトはこちら(画像クリックで公式サイトへ移動)↓
 

anpsp02_01.jpg







PS2版から色合いが一転、青を基調とした落ち着いた雰囲気の漂う公式サイトとなりました!
トップページを飾るのは、ナスカを奪い合うかのようにソードとクリムソンが対峙する新規イラストです。
ティザーサイトに掲載されていたイラストの全貌はこうなっていたわけですね。クリムソンが楽しそう。

これからPSP版発売に向け様々な新情報を公開していきますので、チェックしてくださいね。
現在、PS2版公式サイトで公開されたイベントCGや連載SSなども再掲載されていますので、
予習復習を兼ねてぜひご覧ください。



■12/20(火)発売のB's-LOGにて情報公開!

今月20日に発売されましたB's-LOGにて【ARMEN NOIR portable】の情報が掲載されました。
セピア調にまとめられた見開きイラストが目印です。
ちなみにこのイラストは私、いけが描き下ろしました限定版パッケージをもとに作られています。
AN一周年にして一年ぶりの彼らをどうぞご堪能ください!

そして今回メインに紹介されているのは以下の4つの追加要素。


・新エンディング
PS2版のエンディングとは異なる「希望の光」をコンセプトとした新規エンディングを追加しました。
夢限界楼というシビアな世界を生き抜く中で、攻略対象たちとの新たな未来を見ることができます。
どんな結末が待ち受けているのか、ぜひご自身でお確かめください。

・新エピソード

新規シナリオはエンディングだけでなく、
なんと仲間との日常生活のエピソードも追加されています。
こちらは全体的にほのぼのする内容となっていますので、
戦いの日々に垣間見える攻略対象たちの新たな一面を楽しんでくださいね。

・新規イベントCG、ボイス
もちろんイベントCGやボイスも追加されています!
今回イベントCGは30枚以上描きまして、PS2版同様ユーザーの皆様に
喜んでいただけるよう尽力いたしました。全体的に密着具合が大幅アップ!です。
そしてボイスも、キャストの方々による演技により素晴らしいものとなっています。
ジタバタしたくなるような甘い囁きから強い意志の感じられる男らしい台詞まで様々ですので、
どうぞお楽しみに!

・システムボイスを搭載
おなじみのシステムボイス、もちろんボイスは新規で収録しています。
ゲームのプレイを開始するときなどに、キャラクターたちが一言話しかけてくれますよ。


上記に加え、ANディレクター・サイトウリュウのインタビューも掲載されています!
サイトウDのインタビューでは今回の移植についての意気込みや追加要素の話をメインに、
新たに登場するキャラクターや限定版&予約特典にも少し触れていますので、お見逃しなく!



■例の「ちょっとした企画」


ブログ冒頭でぼそっとつぶやきました「ちょっとした企画」。
ワリコミ記事を掲載するからには皆様に何かお届けしたい……ということで、
今回は季節に合わせ「冬」をテーマにしたSSを特別にご用意いたしました!
ハンター側と賞金首側、2回に分けての掲載となります。
今回は賞金首側のお話です。それではどうぞ!

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winter lover

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scene1・クリムソン


ゆらゆらと、揺れている。

誰かの腕が優しく自分を運んでくれている。

目を開けなければ、と思うけれど、疲れきっていて酷く眠い。
自分を運んでいる誰かに敵意や害意がないのはわかっているので
このままでもいいかな、とぼんやり思う。

それに抱き上げて運んでくれる相手なんて、決まっている。
それはいままでずっと自分の傍らにいたソードという名の青年で、
ノワールにとっては保護者であり教育者であり、兄のような立場の人間だ。

ノワールが眠り込んでしまった時、
または訓練中に気絶した時によくこうしてソードはベッドへと運んでくれた。
だからきっとこれはソードで、何も心配することは――

(……あ……れ……?)

ふと、違和感を感じた。
寄り添った体の感触が、自分を包む腕がソードのそれとは微妙に違う。
それに、ほのかに漂ってくる薬とそれ以外の匂いは……
この香りの持ち主は。

「クリムソン……?」

「ああ、起きちゃったんだね。おはよう、ノワール」

ぼやけた視界の中、すぐ目の前で温厚そうな顔が優しく笑った。
ノワールは何度か目をしばたたかせて、そこがファームの廊下であることを把握する。
どうやら自分はクリムソンに抱きかかえられていて、
どこかへ運ばれている途中だったらしい。

「君、シャワーを浴びたあとダイニングで眠りこんじゃったんだよ。
 それで、私が部屋まで運んでたとこ」
「あ……ごめんなさい。ありがとう」
「どういたしまして」

そう言って笑ったクリムソンは、ふと廊下の端で足を止めた。
あと数メートル歩いたところにはノワールの部屋のドアがあり、
更に奥には診察室やら空き部屋やらが並んでいる。

「……クリムソン?」

ノワールは顔を上げ、クリムソンを見上げた。
クリムソンはわずかに困ったような顔で笑っている。

「……君を抱き上げてから、ずっと迷ってたことがひとつあって」
「なに?」
「このまま君を君の部屋に帰そうか、それとも私の部屋に連れて行こうか 
 どっちにしようかってね」
「え……?」
「……さっき、君がちゃんと間違わずに私の名前を呼んでくれてよかったよ。
 他の誰かの名前を呼んでいたら
 問答無用で私の部屋に連れて行くところだったけど……
 でも、私の名を呼んでくれたから
 今は多少君の気持ちも考慮してあげようかなって気分なんだ」

クリムソンは腕に抱えたノワールの頭に頬を寄せた。
さらさらした銀色の髪がノワールの額をくすぐる。

「……ク、クリムソン、私は……」
「さて、どうするノワール?
 ……返事がないなら、私の好きなように判断しちゃうよ?」

クリムソンはノワールの頬にそのままそっと唇を落とした。
優しいキスに、それでもノワールは体を固くする。

「っ……」
「ああ、可愛い反応だね。頬にキスしたくらいでそんなに緊張されるなんて、
 もっと他の場所にキスしたらどうなっちゃうのかな」
「あ…………」

ノワールの言葉を待たず、クリムソンは再び歩きだした。
ノワールの体を抱き上げたままで、暗い廊下を一歩ずつ進んでいく。

「返事は、あと数秒以内に決めて。君の部屋の前にたどり着くまでに。
 それまでにどっちがいいか選べないなら、私の部屋に連れて行く。
 でも……君が自分の部屋を選んだとしても、
 このまま帰すのは惜しいからもう一度キスくらいさせてもらおうかな。
 今度は、ちゃんと大人のキスでね」
「っ……!」

クリムソンは進んでいく。
ノワールの部屋の前までは、あと少し――。

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scene2・レイン


「はー、寒い。信じらんないくらい外寒い。
凍りそうなくらい気温低いぞ」

ダイニングに入って来たレインは、そう言って大きく息を吐いた。

「レイン、お帰りなさい」

煮込み用の大きな鍋から顔をあげ、ノワールはレインを振り返った。
レインはちょうど手に持っていた小さな紙袋をテーブルの上に置いたところで、
レインが動いた拍子に、その髪から白い粉のような何かが舞った。

「……レイン、雪が降っていたの?」
「ん? あぁ……」

レインは手で髪と肩を払った。キラキラした光が舞い落ちていく。

「少しだけ降ってた。積もるほどじゃねえけどな。
 ったく、コート着て行きゃ良かった……油断した。
 ほら、買ってきたのここ置いとくぞ。すぐ使うんだろ」
「ありがとう。……ごめんなさい、急に買い物に行かせて」
「ポトフ煮込んでる最中にブイヨンがないとか泣きそうな顔で言われたら仕方ねぇだろ」
「……泣きそうだったかな」
「だった。限りなく無表情だったけど半べそかいてた。
 俺も最近やっとおまえの表情読めるようになったぜ。
 で、そっちはうまくいったのか?」
「ロールキャベツが少しほどけちゃったけど、大丈夫だと思う。
 ありがとう、レイン」
「どういたしまして。……あー、くっそ、手袋濡れた」

忌々しげに言ってレインは手袋を外した。その白い手は指先が赤い。
外がどれだけ寒かったのかが見ていても伝わってくるようで
僅かにノワールは眉を寄せた。

「……レイン」
「あ?」

レインに歩み寄ったノワールは、レインの手に触れた。
赤い、氷のように冷えた指先を両手で包んで持ち上げる。

「寒かったね。ごめんなさい、ありがとう」
「……なんだそりゃ。あっためてるつもりか?」
「私、ずっとコンロの前にいて料理をしていたから、手はあたたかいと思う。
 レインの手、冷たそうだったから……実際冷たいし」
「……まあそうだけど。……つーか」
「え……?」

唐突にノワールの手の中から自分の手を引き剥がしたレインは、
ノワールが何か言うよりも早くノワールの体を抱きしめた。

「っ……!?」
「冷えてんの、手だけじゃねえんだよな。ちょっと温もらせろ」
「レイン……!」
「あぁほんとだ。……おまえすげぇあったかいな」

レインの手がノワールの背を探るように動いた。
背中から襟元へ――そして。

「ひゃっ……!!! レ、レイン、冷た……!! 首! 首が……!」
「うわこれ下手なヒーターとかより効果あんな。おまえめちゃくちゃぬくい」
「や、やめ……触らないで……!!」
「駄目。まだ俺全然寒いし」

ノワールの肌に触れたレインは、
そのままよりいっそう強くぎゅっとノワールを抱き締める。
そうしてレインは一歩下がると、どさっと背後のソファーに体を沈ませた。

「レイン……!?」

レインの体の上に乗り上げる形になったノワールは抗議の声を上げるが、
レインはどこ吹く風でノワールの髪を撫でた。

「あの鍋、まだ煮込むんだよな。あと何分くらい?」
「……30分くらい、だけど」
「んじゃ30分はほっといてもいいってことだよな」
「…………」

レインは微かに笑って、ノワールの耳にキスをした。
ノワールは一瞬、目を眇める。

「……レイン、唇も冷たい」
「だから、おまえであったまらせろつってんだろ?」

レインがノワールの髪を指先で引っ張った。

引き寄せられた唇が重なる直前に、ノワールは目を閉じた。

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scene3・ナイヴス

23時。ファームの住人全員が各々の部屋に引き揚げた時刻。
まだ寝るには早く、人と話し込むには遅い、そんな時間。

喉が渇いてダイニングへ向かおうとしたその途中、
冬の気温に冷え切った廊下でノワールは足を止めた。

「……?」

ナイヴスの部屋から人の気配がする。
部屋の中にはナイヴスがいるのだから気配がするのは当然だが、
ナイヴスはこのところ、夕食後からノワールが眠る24時頃まで仮眠をとり
そのあとは朝まで起きていることが多い。
だから、今の時間は眠っているはずなのに。

「……早く起きたの、かな……」

首をかしげつつ、ノワールはナイヴスの部屋の前を通り過ぎてダイニングに向かった。
少し悩んでカフェオレを2人分入れ、ナイヴスの部屋のドアを叩く。

「ナイヴス、いい……?」
「……ノワール?」

すぐにドアが空き、ナイヴスが姿を覗かせた。
ナイヴスはなぜか一瞬ほっとしたような顔をし……
直後、ノワールが手にしたマグカップに気づいて眉を上げた。

「それは、俺にか?」
「そう。起きているみたいだったから。自分のを入れるついでで悪いけど……
 あの、部屋に入ってもいい? カフェオレを入れ過ぎてしまって、持ってるのが怖い。
 カップを置かせて」
「あ……いや、しかし……」
「置いたらすぐに出て行くから。でも、自分の分を一口飲んでからに
 させてもらえると嬉しいんだけど……私の部屋に戻るまでに、零しそうだから」
「…………」

苦笑したナイヴスは、ドアを手で押しあける。

「じゃあ、少しだけな。どうぞ、ノワール」
「ありがとう」

ノワールはナイヴスの部屋を横切り、
ベッドサイドの小さなカウンターテーブルに2つのカップを置いた。
そうしてほっと息をつき顔を上げると
ドアを閉めたナイヴスが戻ってきたところだった。

「悪いな、わざわざ俺の分まで。ありがたく頂くよ」

そう言ってナイヴスはカフェオレを手に取り、ベッドに腰を下ろした。
ナイヴスがそれ以上何も言わないので、もう少しここにいてもいいのだろうと
勝手に判断し、ノワールは自分もナイヴスの隣に並んで座った。

「ノワール、ほら」

ナイヴスがノワールにマグカップを手渡してくれる。
ノワールはそれを受け取り、零さないように注意しながらそっと口をつけた。

「……ナイヴスの部屋に入ったのって、初めてだ」

改めてそういうと、ナイヴスは小さく笑った。

「そうだな、君が来たのは初めてだ。君の部屋に俺が立ち入った事はあるが、
 逆はなかった」
「……私が来るの、嫌だった?」
「そんなことはない。ただ……あまり良くない状況ではあるが」
「良くない?」
「深夜に若い女性が男の部屋に入るものじゃない」
「…………。
 ごめんなさい、でも珍しくナイヴスがこの時間に起きてるみたいだから、
 気になってしまって」
「……そうだな。この数日12時までは寝ていたが、
 今夜は目が覚めてしまったんだ」

ナイヴスはマグカップをカウンターテーブルに置いた。
こと、と軽い音がする。

「……何かあったの?」

黙り込んだナイヴスにノワールは首を傾げた。
自分のマグカップもナイヴスのそれと並べてテーブルに置き、ナイヴスの顔を見つめる。

「そういえば顔色があまり良くないけど……どうしたの?」
「いや、大したことじゃないんだ。笑わないでくれると嬉しいんだが」
「笑わない、何?」
「……君がいなくなる夢を見てしまって」
「……私?」

聞き返したノワールに、ナイヴスは苦笑した。

「君とこうして過ごしているのに、ある日突然、君がいなくなってしまう……
 そんな夢を見て目が覚めたんだ。それから、眠れなくなってしまってな」
「…………」
「だから君が部屋に来てくれて嬉しかった。
 あれは悪い夢だったんだって、やっとそう実感できたんだ」
「…………。
ナイヴスは、私がいなくなったら嫌?」
「嫌だし、それを想像するのは酷く怖い。
 君が君の意志で俺の前から去るなら仕方がないが、そうでないなら……」
「……ナイヴス」

ノワールはナイヴスの顔を覗き込んだ。
そっと、その頬を手のひらで包む。

「ノワール?」
「私はここにいる。いなくならない。……だから、安心して」
「…………。あぁ、どうやらそのようだ。
 これが夢なら、こんな風に君の手の優しさを感じたりはできない」

頬に触れたノワールの手に、ナイヴスはそっと自分の手を重ねた。

「君がここにいてくれて、良かった」

ノワールの手を取ったナイヴスは、そのままノワールの体を引き寄せた。
膝に抱え上げるようにして、抱き締める。

「……ナイヴス?」

ナイヴスの胸と肩に頭をもたせ掛け、ノワールはナイヴスを見上げた。
ごく近い場所で目が合って、鼓動が大きくなる。

「少し、体が冷えているな。……廊下は寒かっただろう。
 パジャマ一枚では薄着過ぎたんじゃないのか?」
「……そうだけど、パジャマの上にネロを着るのも、なんだか変だったから……」
「違いない。今度一緒に温かなガウンでも探しに行こう」

ナイヴスの手がノワールの後頭部を撫ぜた。
くしゃっと髪がかき混ぜられ、くすぐったさにノワールが肩をすくめる。

「……ナイヴス」
「君は俺がこういう行動に出ても、嫌がらないな。
 ……素直に抱き締められているのは、信用しているからか
 それとも男として見てもらえていないのか――」
「……それは……」

ノワールは片手をあげて、ナイヴスの髪に触れた。
ナイヴスが自分にしたようにその髪を撫ぜる。

「ナイヴスが、好きだからだと思う」
「…………」
「だから、嫌じゃない。……少し、驚いたり緊張するけど……」
「……ノワール」

ぐ、とナイヴスの腕に力がこもり
ノワールはよりいっそうナイヴスに引き寄せられた。

「このタイミングでそういうことを言うのは良くない。
 ……必要以上に、君に触れたくなる」

今度こそ唇が触れ合うほどの距離で、ナイヴスが低く囁く。

「嫌ならそう言ってくれ。だが、そうでないなら……」

ナイヴスの指がノワールの顎を持ち上げた。
それだけでもう唇が触れそうになる。
吐息がかかり――そして。

「……ノワール、君はどうする?」


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……はい、とっても甘い、です。
この原稿を確認したとき、各キャラの恋人っぷりにジタバタしました。
PSP版の新規シナリオにある恋愛シーンを一足早く味わっていただきたく、
その甘さを意識してシナリオライターの望月柚枝さんにSSを書いていただきました。
次回のハンター側のお話も楽しみにお待ちください!



■次回のANブログは?

次回は1月上~中旬あたりを予定しております。ぜひチェックしてくださいね。
最後に、来年も皆様にとって良い年になるよう願って……
こちらもある意味冬テーマな四コマ漫画をご用意いたしました↓
それでは皆様、良いお年を。いけでした。ARMEN!

※画像クリックで四コマが表示されます

anpsp02__4coma01m.jpg























 

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