夏空のモノローグ portable 最終回

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       夏空のモノローグ portable  2013.7.29


             最終回ブログ記念SS


            『それぞれ の モノローグ』



        ※全てにネタバレ要素が入っています。 本編クリア後の閲覧を推奨します。


 

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 ■1

 夏の気配を感じさせる、朝にしては強い日差しで目を覚ます。
 壁に映る、窓枠に切り出された白い陽光になんとなく笑みを浮かべた。
 長い長い、夢を見ていたような気がする。
 それはとても悲しくて、とても寂しくて、
 けれどとても楽しい、大切な日々の夢――。
 枕もとに置いた携帯電話で、日付を確認した。

 7月29日。

 今日は、科学部最後の日になる。
 1年と少し、皆でバカ騒ぎをしたあの部室とも、明日でお別れだ。
 科学部がなくなった後のことを、考えたことはない。
 意識して考えいないようにしてた。葵との関係もこれを境にして、
 遠ざかっていくような気がしていて、それをどうやって受け止めればいいのか、
 まだ心に決まっていなかった。
 けれど……。
 けれどなんとなく、それでもいいような気もしている。
 無理に何かを覚悟する必要なんてないのだろう。
 きっと、うまくやっていける。

 小さく息を吐き、ベッドから起き上がる。
 今日、7月29日になったら、ひとつやろうと思っていたことがある。
 それはとても重要なことだ。起き上がり――
 机に隠すように置いていた、写真立ての前に立つ。
 「…………」
 写真立てから写真を抜き取り、それを机の中へ。
 少しの間、縁だけとなった写真立てを見つめ息をはく。
 ここには、新しい写真を入れる。
 葵と……2人で撮った写真だ。
 もちろん、葵が承諾してくれる必要があるし、そのためには、
 俺がそれを葵に頼むという非常に難しいミッションが待っているわけだが……。

「出来るのか? 俺に……」

 まあ……すぐには無理だったら、
 科学部皆の記念撮影とかでもいい。とりあえず、今のところは。
 などと考えつつ、吊していた制服に袖を通し、部屋を出て行った。

「あら、おはよう。早いのね? 夏休みなんじゃなかったっけ?」

 台所に入るなり、トーストをくわえたまま
 こちらに顔を向けたのは、大学生の我が姉だ。

「今日から夏期講習なんだよ。父さんと母さんは?」

「お父さんは仕事。今日は早いんだって。お母さんは町内会の付き合いで
 日帰り旅行って言ってたじゃない。私も大学でサークルだしね。
 彼女を連れ込むなら今日しかないわよ?」

「な……な、何言ってんだよ!
 彼女なんていないし、大体いたとしても、
 俺はそういうことはもっとちゃんと――」

「あはは、冗談よ。何慌ててんの。
 もしかして……思い当たる子でも?」

「ないよ!」

「はいはい……あー、そうだ。ちょうどよかった。
 トーストだけじゃ味けないなーって思ってたのよ。
 一輝、なんか作ってよ」

「……あのな。
 人に頼ってばかりいちゃダメになるぞ。
 そんなだから彼氏とだって仲直りできな――」

 君子危うきに近寄らず。
 姉の射殺すような視線が突き刺さり、俺は口を閉じた。
 怒鳴り声が飛んでくる前に俺は、大人しく姉に従うことにする。
 手早く2人ぶんの食事を作りながら、なんとなく考えている。

 いつか葵に全てを話そう。
 やっぱり俺は、葵のことが好きだと話そう。
 きちんと、今の葵が好きなことを。

 結果がどうであれ、きっとそれで俺は、ようやく一歩を踏み出せる。
 もちろん、葵に受け入れてほしいと心から思ってはいるけれど、
 それは葵が決めるべきことだ。
 まずは、俺が動き出さなければ何も始まらない。

「……なんかあんた、ここ1年ぐらいで急に雰囲気変わったわよね」

 ぼんやりとした姉の声が聞こえてきた。

「ちょっと大人になったっていうかさー……」

 その言葉に、思わず手を止める。
 自覚はないけれど、もし少しでも大人になったというのなら――。

 それはきっと科学部での活動と……
 記憶を失った葵との日々が、そうさせたのだろうと思う。

「あ、あんたもしかして……実は彼女デキてるわね!?
 大人の階段昇ったわね!? 赤飯でも炊いてあげようか!?」

「なんで姉貴は、全部そっち方面に結びつけるんだよ! ――いてっ!!」

 思わず叫んだ瞬間に、自分の指を庖丁で切ってしまった。

「あっ……もー、バカねえ。傷深い? 絆創膏と消毒持ってくる?」

「いや、ちょっと切っただけ」

「そ。ならいいか。適当にツバでもつけときなさいよ」

「……ひどい姉だよ、全く」

 突然玄関のチャイムが鳴ったのは、
 そんないつものやりとりをしていたときだった。

「こんな早くに……? 誰だろ」

 姉がそんなことを言いながら、玄関に向かった。
 その後ろ姿を見送り、料理の盛りつけをする。
 窓から入る日差しは眩しく、山の向こうには白い入道雲が見えた。
 何かいいことが待っていそうな、そんな気がした。

「一輝。お友達よー」

 姉が台所に戻ってそんなことを言った。
 学校に行く約束? そんな約束、した覚えがない。

「ちょっとちょっと、誰なの。あの子。
 めっちゃくちゃ美形じゃない! 知的な雰囲気だし、礼儀正しいし!
 ねね、一輝。紹介して? お姉ちゃんに紹介して?」

「彼氏はいいのかよ」

「ハッ……いいのよ。あんなヤツ」

 姉の態度にため息をつきつつ、玄関に向かう。
 美形という言葉に、一瞬葵かと期待したけれど、
 姉があれほど興奮するのだから、女子ではないのだろう。
 首をひねりながら玄関に出たところで、思わず妙な声が出た。

「おわあぁぁぁぁ……」

「やあやあ! 科学部副部長、木野瀬一輝くん! 科学の世界よりの使者!
 沢野井宗介が今世紀最高の価値ある実験に君を招待するべく、
 君の住まうこの地へとやってきたぞ!!」

「…………」

 この人の悪い意味でのサプライズにはいい加減慣れたと思っていたけれど、
 心構えができていないと、言葉さえ出て来なくなるものだ。
 久しぶりの感覚に、妙な懐かしささえ覚えた。

「はっはっは! 嬉しくて声も出ないか!?
 さあ共に行こう! めくるめく科学の世界へ!」

 輝く部長のメガネを目の当たりにして、
 俺の『いいことが起きそうな予感』はもろくも崩れ去ってしまった。

 7月29日、科学部最後の日。
 今日もいつもと同じように、騒がしい1日になるような気がしていた。

 

 

 ■2

 もうもうと立ち込める黒煙の中を、
 沢野井宗介は腕を組み、仁王立ちしていた。
 空には巨大なキノコ雲が立ち上がっている。

「ふははははは! ついに確実なデータを手に入れたぞ!
 マイクロブラックホール生成実験もいよいよ大詰めだな! 木野瀬一輝くん!」

「ごほっ……ごほごほ……! よかった……生きてる……」

「生きてる……? 何を言っているのだね!
 心配する必要などないと言っただろう!?」

 咳き込みながら立ち上がる木野瀬を見下ろし、
 沢野井はメガネをクイと上げて微笑んだ。
 ……けどその格好つけたポーズも、ひび割れた眼鏡じゃ台無しだった。

「今回は実験失敗の際の爆発に志向性を持たせたのだ!
 爆発したときのエネルギーを全て上方に向けることで、
 被害を最小限に留めることに成功したのだよ!」

「普通は爆発させないことを第一に考えませんか!?」

 ふらつく足どりで立ち上がる木野瀬の目の前に、
 沢野井は真っ白なYシャツとサマーセーターを差し出した。

「これを着たまえ。僕の実験で部員を遅刻させるわけにはいかないからな」

「……毎度毎度、準備がいいですね」

 すすけた制服を脱ぎ、用意していた制服に着替え、
 後片付けをすませた後、2人はようやく学校へ向かう。

「ふっふっふ! このデータをもとに
 マイクロブラックホールを生成することができれば、
 無限エネルギーの実現も可能になるだろう!」

「あれだけの大爆発をおこしておいて、よくそれだけポジティブになれますね?
 普通ならトラウマものですよ」

 沢野井が笑うと、木野瀬がため息を吐く。
 それはこの1年、ずっと続けられてきた日常だ。
 そしておそらくこの日常は、今日が最後になるのだろう。

 学校へと続く緩やかな坂道を上がりながら、沢野井は考えている。
 自分の思惑がうまく行くにせよ、行かないにせよ……。
 今日を境に、自分達の周辺には決定的な変化が訪れることになる。

「……そう言えば、部長」

 木野瀬はふと思いついたように沢野井を見て尋ねる。

「科学部が廃部になったら、部長はどうするつもりなんですか?
 ひとりで実験を続けるんですか?」

「それは、もし7月30日がやってきたら、ということか? 木野瀬一輝くん」

「え? ……そりゃあ、まあ」

 妙なことを聞くな、というように木野瀬は首を捻っていた。
 沢野井はそれには構わず、にやりと笑った。

「僕はアメリカに渡る」

「はあ、アメリカですか。なるほど……え!? アメリカ!?」

「NASAが臨時に研究職員を探しているのをインターネッツで発見してな。
 論文を添えて申し込んだところ、『一刻も早く来てほしい』ということだった。
 少しの間、滞在してくるつもりだよ」

「NASA……少しって、どれくらいですか?」

「ある程度の研究成果が出るまで、だ。
 手応えが掴めたら、ここに戻って来る。
 ここには僕が挑むべき大いなる謎が残されているからな」

「大いなる謎……って?」

 沢野井は微笑み、大空の一点を指差す。
 その指先には、空の青を一直線に分断する真っ白な塔の姿があった。

「……ツリー」

「そう、世界中の科学者が投げ出してしまったあのツリーこそ、
 僕の目指す……そして、僕の憧れた科学者が目指した、研究対象なのだよ」

 そう、僕だけではない。
 彼の意志を継いで、ツリーの謎を解き明かす。
 
 それこそが自分の望みだ。
 話しているうちに、彼は自分の考えが揺れていることに気付く。
 今夜決行しようと考えている、過去を取り戻す計画さえ、
 失敗してもいいと思えている自分に、沢野井は驚いた。

 明日が来るなら、それでもいい。
 流れ続ける時間が、きっと僕の背中を押してくれるだろう。

「確定した過去のために生きるのではなく、
 不確定な未来のためにこそ、人は生きる価値を見出すということだ」

 沢野井が呟くと、その横顔を見つめていた木野瀬は、やがて笑った。

「意味はよくわかんないですけど……
 部長……俺、初めてあなたのことをかっこいいと思いましたよ」

「何を言う! 科学の道を日々まい進する僕が
 かっこよくなかった瞬間など、1アト秒すら存在しない!
 ところで木野瀬一輝くん! 明日の早朝も実験を行う!! 付き合いたまえ!」

「まだ懲りてなかったんですか!?」

 やがて2人は、坂道を昇る小川葵の姿と、浅浪皓の姿を見つけた。

 沢野井は愛すべき2人の科学部メンバーの後ろ姿に微笑む。

 もし明日がやってきて、科学部が廃部になってしまったとしても、
 彼らが科学部であったことは永遠に変わらない事実として、
 この胸に刻まれている。

 彼らとの日々が心にある限り、どこまでだっていける気がした。

 

 

 ■3

 色々迷ったのだけれどその日、陽は夏期講習をサボることにした。
 旧校舎の美術準備室にこもり、彼はキャンパスに向かう。
 ずっとかかりきりになっていた一枚の絵がもうすぐ完成する。
 いや、完成させなければいけない。

 それが自分なりの――
 楽しかった日々への、区切りをつけることに繋がると思っていた。

「あっちー……」

 空調設備など一切ないこの部屋は、まるで蒸し風呂のような暑さになる。
 額の汗をタオルで拭い、改めて描きかけの絵を見つめた。

 思わず、微笑んでいた。

 この絵は自分にとって特別な一枚になることはわかりきっている。
 本当はもっと時間がかかると思っていたのに、
 まるで身体が覚えているように迷いなく筆を進めることができた。

 キャンパスに現れる絵に陽自身が驚いていた。
 こんなに柔らかな色と輪郭を、自分が描けるとは思っていなかった。

「……先輩はいつだって、俺に新しい世界を見せてくれるんだな」

 今も、そしてあの、一年前の公園で出会った時も――。

 そんな呟きと共に、再び絵筆を運ぶ。
 そのたびに、感謝の気持ちと愛情が胸から溢れていくようだった。

 先輩との出会いがなければ、この学校には入ってなかった。
 科学部での日々を過ごすこともなかっただろう。

 なにより……今こうやって、絵に向き合えるのは、
 あの時先輩に出会えたから。

 今この瞬間に自分を形作っているもの全てが、先輩との出会いから始まっている。

 先輩は素晴しい人だ。
 科学部での活動を通して先輩を知るたびに、それは確信に変わった。
 あの人の心はとても柔らかくて、繊細で、
 人の悲しみを自分のことのように悲しんで、
 人の喜びを、自分のことのように喜んでくれる。
 そんな、本当はとても難しいことを当たり前のようにできる。

 優しい人だと思う。あの人と一緒にいられたら、きっと毎日が楽しいだろう。
 あの人の、心からの笑顔のためなら、きっと自分はなんだって出来るだろう。

「……5年か」

 高校生の陽には、それは途方もない時間のように思えた。
 想いは告げない、と陽は心に決めている。
 きっとその5年間は先輩にとって素晴しい時間になる。
 俺が束縛していいわけがない。

 想いなら伝えてきた、冗談に受け取られていることはわかっていた。
 けれど、海外に留学に行くことが決まってからは、
 むしろ自分から冗談として受け取られているようにしていた。

 先輩への気持ちを自分から誤魔化していた。

 臆病なのか、先輩を大切に想う気持ちからか。
 多分……きっとその両方なのだと思う。

 いや、言葉で考えるのはやめよう、と陽は思う。
 どんな言葉よりも一枚の絵を描く方が、
 自分にはあっている。

 過去の出来事への感謝も、
 今も続く先輩の想いも全て、この絵にぶつけよう。

 この絵はもうすぐ完成する。
 自分でも大げさかもしれないけれど、
 ずっとずっと……もう何千年も前から。
 この絵を完成させたかったような気がする。

 そしてきっと、この絵を完成させたその時には、
 きっとこの絵が自分の背中を押してくれると陽は信じていた。

 選んだ道への不安や、
 科学部の皆と、先輩と別れることの寂しさも抱えた上で、
 それでも胸を張って先に進むための勇気をもらえるような気がしていた。

「……待っていてくださいね、先輩」

 キャンパスに向かってそう微笑みかけ、陽は再び、絵筆に気持ちを乗せた。

 

 

 ■4

 高鳴る胸を押さえ、一度深呼吸する。
 最初の1日、ということもあって夏期講習はずいぶんと早く終わってしまって、
 篠原はひとり、科学部の部室の前にいた。

「……普段通りに、あくまで自然に……」

 今日、科学部最後の日――篠原は一つの決心をしていた。
 科学部のメンバーたちにどうしても伝えなければいけないことがあったのだ。
 けれどそれを伝えることは、篠原にとってはとても勇気のいることだった。
 
 この告白を、もし拒否されたら、もし笑われたら。

 そんなことを考えるだけで、落ち着かない気分になった。
 午後の日差しはまるで彼を急かすように、ますます強くなっていく。

「ゴホン……ゴホンゴホン……」

 意味もなく咳払いをして、彼は部室のドアノブに手をかけ……。
 鍵がかかっていることに気付く。

「……誰もいないのか」

 残念なような、ほっとしたような。

「ん? なんだ篠原じゃねえの。なにやってんだ、そんなとこで」

 突然背後から声をかけられて振り向けば、
 科学部担当顧問――浅浪皓がいた。

 突然声をかけられて驚き、そして心の準備も整っていなかった。

「あ。いやあの…………し、失礼します」

 篠原はそう言って、逃げるようにその場を後にした。

「……なにやってんだ僕は……」

 驚いたからって逃げなくてもいいだろう。
 我ながら、自分の情けなさが嫌になる。深く息をついたときだった。
 旧校舎からカガハルが出てきたのが見えた。

 ……大方、授業か何かでへまをして教師の怒りを買い、
 罰として旧校舎のどこかの掃除でもやらされたのだろう。

 いい機会だ。
 あのバカへの告白は、最もプライドが邪魔をすると思われる。
 逆に言えば、あのバカさえクリアしてしまえば、後は楽だ。
 最初に難関をクリアして自信をつけておくのも、ひとつの選択だろう。

「よし、行こう」

 篠原はひとりで呟いて、何気ない風を装ってグラウンドを横切り、
 カガハルに近づいていく。

 近づくに連れ、妙な汗で手が濡れた。
 やはりもう少し様子をみようか……。
 いや、カガハル相手に、何を怖じ気づく必要がある。
 己を奮い立たせ、篠原はカガハルの側に寄った。

「あれ? 篠原じゃん。なにその引きつった顔。奥歯に何か挟まってんの?」

「……微笑んでるんだよ。知能だけじゃなくて、人の感情を読み取る能力も低いんだな」

「余計なお世話だよ!」

 どうしてコイツはこう、人の神経を逆なでするのだろう。
 そんなことを思いつつ、篠原はカガハルをあらためて見た。

「あー……カガハル、これから部室に行くのか?」

「え、だってこれから部会じゃんか。他にどこに行くんだよ?」

 きょとんとするカガハルに、篠原は小さく息を吐く。
 確かにその通りだ。カガハルに突っ込まれるとは、なんという屈辱だろう。

「ゴホン、ゴホンゴホン」

「なに、篠原。お前風邪なの?」

「違う!」

「じゃあなんだよ」

 いよいよ不審に思ったのか、立ち止まって篠原を見つめるカガハルに
 篠原はいよいよと覚悟を決めた。

「…………」

「な、なんだよ、黙っちゃって。気持ち悪いな」

「別に、これはお前だから言うんじゃないからな。
 科学部全員に言う予定のことだから、けして調子に乗るなよ」

「だからなんだってば!」

 あらためて聞かれると、言いづらい。
 篠原はカガハルから目をそらし、ボソボソと言った。

「……ぼ、僕と友達になってくれ」

「へ?」

 あまりにも意表をついた言葉だったのだろうか。
 カガハルは呆然としたように篠原を見つめた後、ついで大爆笑を始めた。

「な、なんだよ。聞こえなかったのか?」

「ふ、ふふふ。いや聞こえてたけど。
 真面目な顔で何を言うのかと思ったら……く、ふふ。あははは!」

「わ、悪かったな。これでも……これでも僕は真剣なんだぞ!?」

 篠原にとっては一大決心だった。
 自分から相手に近づいたことなど、高校に入って以来皆無だったのだ。

「あー……あれ? おかしいな……」

 カガハルは不思議そうに首を捻った。

「今度はなんだよ」

「んー? 前にもこんなことがあったような、って思ってさ」

「……いや、こんな屈辱的なことを言うのは初めてのはずだ」

「な、なんで俺と友達になるのが屈辱的なんだよ!」

「親の仇に土下座して許しを乞うレベルの屈辱だな」

「屈辱過ぎるだろ!?」

 そんなことを言いながら、カガハルは再び歩き出す。
 篠原は慌てて早足になり、彼に追いついた。

「おい……返事をまだ聞いてないぞ」

「返事かー。うーん、そうだなあ…………」

「…………」

 カガハルは振り返って、篠原を見つめる。

「野暮なこと言うな、バカ野郎。 だな」

 カガハルは笑ってまた歩き出した。 
 篠原は立ち止まったまま、しばらくカガハルの背中を見つめて――。

 それから自然と笑みを浮かべて、篠原はゆっくりと歩いていく。
 カガハルはきっと自分より先に部室に着くだろう。
 ひょっとしたらもう、皆部室に集まっているのかもしれない。

 けれどそれでも、
 自分が部室に来るのを、待っていてくれるだろう。
 皆が自分にとって、大切な仲間であるように、
 自分も皆にとって、大切な仲間だから。

 ……大切なのは、明日に怯えることではない。
 今を精一杯生きていくことなのだと、
 昔、誰かにそんなことを言われたのを、
 篠原はなんとなく思い出している。

 7月29日、見上げた空は、いつもより美しい藍色だった。

 

 

 ■5
 
 宗介の提案で科学部最後の活動は、ツリー観測に決まった後――。
 集合まで、まだ多少時間があったので、僕は学校の屋上に向かった。

 ここで空を眺めるのが不思議と好きだった。

 僕には一年前より昔の記憶がない。
 けれどなぜか、この学校には、不思議と惹かれる場所がいくつかある。
 それはこの屋上であったり、旧校舎だったりする。
 
 まだ旧校舎を訪れることはしていなかった。
 この夏で旧校舎は取り壊されるのだから、
 早いうちに中を見ていた方がいいのだろうけれど――。

 なんとなく、行きそびれたままになっている。

 旧校舎にはとても大切なものがある気がした。
 あの場所を見ているだけで、とても安心するような……
 けれど同時にとても悲しいような気がして、足が進まないままになっている。

 何かきっかけがなければ、
 このまま旧校舎が取り壊しになるまで、
 僕があそこを訪れることはないのかもしれない。

 屋上でぼんやりとしているといつも、何か音が聞こえるような気がしていた。
 それは高く低くうねる波のようで、クジラの鳴き声のように思えた。
 目を閉じるとそれはより、はっきりと聞こえてくる。

 どこか悲しい旋律。
 記憶の奥に眠っている誰かの声が、
 不意に聞こえてくるような感覚を――。



「綿森楓」



 不意の声に、僕は慌てて振り返る。
 遙かな昔に突然、引き戻されたような気がした。
 そこには、長身痩躯のメガネを掛けた男が立っている。

「けん――」

 今、自分は誰の名を呟こうとしたのだろう。
 半ばまで出た言葉は、夏の熱気に溶け込んで消えてしまった。

「君はよくここに来ているようだな。
 僕が知りうる限りでは、ほぼ日課にしているのではないか?」

 そう言ったのは、科学部の部長である宗介だった。

「……まあね。
 どうしてそんな気持ちに、僕には全くわからないけれど。
 たまたまここからの眺めが好きなのかもしれないし、あるいは――」

「あるいは。失った記憶の残滓が、ここにあるかも知れない?」

 言葉を引き取った宗介を、思わず見つめる。
 なぜ自分の考えていたことがわかったのだろう。

「そんなに驚く必要はない。特定の場所に愛着を持つなら、
 もともとその場所が気に入っているか、強い思い入れを持っているかの
 ふたつにひとつだ」

 宗介の言葉に、なるほど、と頷いた。
 確かに彼の言うとおりだ。
 
「ここに何か、昔の思い出があるのかな。
 僕が記憶を失う前の思い出が……
 宗介、君は何か知らないかい?」

 宗介は微笑み、けれど何も答えようとはせず、代わりにこんなことが言った。

「過去は取り返そうとするものじゃない。明日へ進むための糧だ。
 もし今夜……もし、何も起きなかったとしたら僕は、今度こそ前に進もう。
 ……きっと君も、そうした方がいい」

 どういう意味か、と尋ねる気にはなれなかった。
 答えが返ってこないだろうことが、なんとなくわかっていたから。

「色々迷ったが、やはり、この言葉だけは伝えておきたい」

「……なんの話だい?」

「昔、僕は、君にある言葉を伝えようとした男に出会った。
 この言葉を君に伝えるために、彼は全ての人生を費やした」

 宗介は優しく言った。その声は、どこか寂しそうでもあった。



「泣くな。明日はきっといい日だから」



 なぜだろう。
 その言葉を聞いた瞬間、胸が痛んだ。
 心の奥に細波が立ったようだ。

「僕は……その伝言に応えなければいけない気がする。
 伝言を残した人は今、どこにいるんだい?」

「……いいや、必要ないさ」

 宗介はそう言って、少し微笑んだ。

「君のその顔が見られただけで、きっと彼は満足している」

 宗介の言葉がなにを指すか、しばらくは分からなかった。
 けれど……自分の足元にだけある数滴の水跡が、答えだった。

 彼は屋上を去っていった。
 ひとり残った僕は、夕焼けに染まるツリーを見上げる。
 ツリーは何かを、僕に語りかけているような気がした。

 

 

 ■6

「間近で見ると、やっぱり大きいね、ツリー」
「あんま夜風に当たるなよ? 風邪でも引いたら大変だ」

 山を登っていく車の中、
 後部座席の窓を開けて外を眺める翔に、皓はそんな声を掛けた。
 翔は平気だよ、とだけ返事をして、流れる景色を見つめ続けている。

 科学部最後のイベントは、ツリー観測だと沢野井は言っていた。
 夜間の部活だ。顧問の浅浪としては、何も問題がないように、
 彼らを見守る必要がある。

 そんな最後のイベントに、翔を連れ出したのは、
 多少の心境の変化があったからだ。

 夜の山道を登るなど、病人にさせていいことではない。
 けれど翔はずっと、ツリー広場からの天体観測をしたがっていた。
 あそこはとても、星が綺麗に見えるらしいと、
 いつか夢を見るように話していた――。

 今を逃せば、いつツリー広場に来られるのかわからなかったから、
 皓は弟の翔と一緒に天体観測をすることを決意した。
 暗い山道の向こうには、星空と、星明りを受けて白く輝くツリーの姿がある。

 今夜、ツリーに何か異変が起きる可能性があると沢野井は言っていた。
 きっといつも通りに沢野井の予想は外れて、
 何もない気の抜けた夜を過ごすのだろうと思う一方で……。
 
 何かが起きるのでは、という予感も、なぜかあった。

「兄ちゃん、どうしたの?」

「……ん? ああ、悪い。ちょっとばかり、考え事だ」

「もう、しっかりしてよ。運転中にぼーっとしちゃってさ。
 やだよ俺。天体観測に行く前に事故を起こしちゃうとかさ」

「そうなったらなったで、また来るさ」

「……来られるかな」

 ぼそりと呟いた翔の言葉は、わずかな重さを感じさせた。

「大丈夫だ」

 絶対に大丈夫。そう心のどこかで祈りながら、
 皓はつとめて明るい声を出した。

「来られるよ」

 浅浪は思わず力を込めて言う。

「何度だって、来られる」

 言葉には力がある。
 言い続けてさえいれば、希望を持ち続けてさえいれば、
 ひょっとしたらそれは、現実になるかもしれない。

 一番いけないのは、諦めてしまうこと。
 明日には悲しみしか待っていないと、思ってしまうこと。
 皓は昔からそう思っていたし、今も変わらず、そう思い続けている。

 小さな駐車場に車を置いて、今度は細い山道を徒歩で行く。

 皓は専用のバッグに入った天体望遠鏡を背負って歩き、
 翔はその後ろを少し申し訳なさそうにして歩く。

「無理すんなよ。疲れたらすぐ言え?
 時間に余裕はもたせてるから、遠慮することねえんだぞ?」

「大丈夫だよ。
 それより、兄ちゃんこそ大丈夫なの?
 ものすごい息上がってるけど……」

「バカ野郎。毎日沢野井のおこす騒動に巻き込まれてるせいで、
 身体だけはやたらと鍛えられてんだ。
 この程度、大したことねえよ」

「そんなやせ我慢しなくても」

「やせ我慢じゃねえって」

 そんなことを言い合いながら、2人で道を昇っていく。
 夜の山は、むしろ町の喧噪より賑やかで、虫の鳴く声に
 押し包まれているような気にさえなる。

「……ねえ、兄ちゃん。今日は、科学部の最後の日なんでしょ?」

 ふと、後ろからそんな声が聞こえた。

「ああ、まあな」

 振り返らずに、浅浪は答える。

「俺のせい、だよね……」

 翔の小さな声が聞こえて、浅浪は小さく首を横に振った。

 できる限り伏せていたのだけれど、
 職場を移る以上、秘密にしておくことはできなかった。
 あいつは気にしていない雰囲気を装っていたけれど、優しいヤツだ。
 負担に思わないはずがない。

「なあ……ひとつだけ、いいか」

 「なに?」

「世の中はさ、とても理不尽にできてる。
 悲しいこともつらいこともいっぱいだ。
 迷惑をかけたくないと思っていても、迷惑をかけてしまうことだってあるし、
 その償いさえ、できないことがある。

 あのとき、どうしてああしてあげられなかったんだろう。
 あのとき、どうしてあんなことをしてしまったんだろう。
 ……そんな風に思えることが、ただ生きているだけでたくさん積み上がっていく」

 それは、浅浪自身の信条だった。

「それはずっと心に留めておいてもいいんだ。
 誰かに迷惑をかけたり、優しくされたぶんだけお前は、誰かに優しくすればいい。
 誰かの支えになってやればいい。そうやって生きていくしかないんだ」

 実際、浅浪はそうやって生きてきた。
 弟ひとり、支えられていない自分の情けなさや弱さを、
 生徒たちから居場所を奪ってしまう罪悪感を
 優しさに変えて生きていこうとそう思っていた。

 それで何が変わるわけでもない。
 けれど……そうやって生きていくほかないのだ。

 翔にも、そうやって生きてほしい。
 誰よりもまず、自分のために。

「今回のことは、お前が悲しむべきことじゃない。
 でも……もし、それでも悲しいと思うのなら、
 そのぶん誰かに優しくしてやってくれ」

 しばらく沈黙が続いて、2人の立てる音と言えば、
 地面を踏みしめる足音ばかりだった。

「わかった、兄ちゃん」

 不意に発せられた翔の声が少し明るかったから、浅浪は少し救われた気がした。

「ああ」

 深く息を吐く音が聞こえた。
 
 「兄ちゃん、北斗七星が見えるよ」

 白く輝く砂粒を濃紺の空にばらまいたような景色。
 枝葉の向こうには星の海が広がっている。

「そうだな」

「綺麗だね」

「うん。本当に、綺麗だな」

「ツリー広場から見たら、きっともっと綺麗なんだろうなあ」

「そうだな」

 それからしばらく話をした。他愛のない昔話ばかりだった。
 けれどそれは翔の病気が発覚する前の、
 自由に外を走り回っていた頃の翔の逸話だった。

「夢に見るのは、あの頃のことばっかだなあ。
 あ……でも今日のことは、きっと夢に見るようになるよ」

 笑って言うその言葉に、思わず息が詰まった。
 本音を言えば、自分が一番明日に怯えている。
 翔と話していると、ふとした瞬間に、泣き出したくなってしまう。
 これは一体どういうことだと、誰かに問い詰めたくなってしまう。

 けれどそれでも……
 やはり最後には、明日を望んでしまう自分がいた。
 空を見つめて、日々を重ねればいつかは……。
 あいつの探し求めている星も見つかるだろう。

 生きるという言葉は、
 息をしているということを指しているのではない。
 それはきっと、無限の空にまだ見ぬ星を探すということだ。

「どうしたのさ。さっきから黙り込んで」

「なんでもねえよ。ほら、暗いんだから、足元気をつけろよ?」

 そう言って、翔に負担がかからないよう、
 皓はゆっくりと歩き続けた。

 この道の先には科学部の部員たちがいる。
 皆大切な、自分の教え子だ。
 
 複雑な思いは色々とあったけれど、それを表に出して、
 生徒たちにも、弟にも、自分の想いを押しつけたくはない。
 皆それぞれに問題を抱えて、一生懸命生きているから。
 だからこの最後の日は、俺は笑って皆を見守ろう。

「……兄ちゃん、今、何考えてる?」

 尋ねる翔に、皓は口を開いた。

「明日が来るってのも、悪いもんじゃねえって考えてたのさ」

 翔が不思議そうに首を傾げ、
 皓はそれを見ると少し笑って、また前を向いた。

 

 

 ■7

 7月29日、夜。
 私たちは一緒に、山道を歩いた。これからツリー観測に行くのだ。
 部長さんはツリーが歌うという話を熱心にしていたけれど、
 誰も話を聞いてはいなかった。
 
 歩きながら、皆でたくさんの話をした。

 皆だって私と同じように、科学部は大切な場所だったはずだ。
 それがなくなってしまうというのに、皆、明るい表情をしていた。
 どうしてなんだろうと、木野瀬君に聞いたら彼はこう答えた。

「時間が経つってことはさ、色んなものが変わっていったり、
 消えてなくなったりするってことだろ。科学部だってそうだ。
 でも、俺達はいくら時が経っても、変わらないものがあるって知ってる。
 だからそりゃ寂しいけど、前を向いて歩いていけるんじゃないか」

「……変わらないものって?」

 木野瀬君は笑った。

「俺達が、心に刻んだ思い出だよ。
 ここで今、こうやって笑ってることだって、思い出になって、
 俺達の一部になる。だから単純に悲しいばかりってわけじゃない」

 木野瀬君はそこまで話して、皆の視線に気付いたようだった。

「うっわー、木野瀬ってば詩人ー!」

「なんですか先生!」

「なかなかの感性…… あなたも隠れポエマーですね?
 僕も負けてはいられないな」

「なんだよ隠れポエマーって! 負けてはいられないってなんの話だよ!」

 木野瀬君の顔がすごい勢いで赤くなっていく。

「科学者にして詩人……か。
 うむ! その通り、真の科学者はロマンチストなのだ!
 そうではないかねポエミスト一輝くん!」

「部長、このごに及んで変なあだ名つけないでくださいよ!」

「ポエミスト先輩って、ちょっと恥ずかしいですよね、葵先輩」

「そのあだ名を定着させるんじゃねえ! カガハル!」

「そ、そんなに恥ずかしがらなくてもいいんじゃないかな。
 私は、素敵な考え方だって思ったよ」

「小川……」

「ですよね!
 俺も実はポエミストカガハルと呼ばれた男なんですよ!
 葵先輩……聞いてください俺のポエム。
 『葵 イズ ビューティフルジャーニー……』」

「おい、なんだその頭の悪そうな英語は。教師としてほっとけねえぞ」

「ひどい! 教師のそういう心ない言葉が、
 生徒の意欲や可能性を奪っているというのに!」

「心配するな。お前に勉強方面での可能性なんて、元から存在しない」

「どういう意味だよ!」

「……あの、綿森さん?」

「なんだい? 翔君」

「いえ、あのずっとにこにこしているから、
 何かいいことでもあったのかなって」

「いいことか……うん、あったよ。とびきりのいいことが」

「……とびきりのいいことって、なんですか?」

 私も気になって、綿森さんに尋ねた。

「今、皆でここにいる奇跡のことさ」

 綿森さんはそう言って微笑んだ。
 
月明かりの下で見る綿森さんの笑顔は、
 心から嬉しそうで、同時にとても優しかったと思う。

 ツリーだ、と誰かが呟いて、私達は前を向く。
 いつの間にか、私達はツリー広場へと辿り着いていた。
 
 濃紺の夜空に、星と月。
 その明かりを受けてツリーは超然としてそこにそびえていた。

 自然と私たちはツリーを見上げた。
 きっと、胸の中にある想いは一緒だっただろう。
 私は小さく息を吐き、そして一度目を閉じる。

 私も感謝しよう。
 皆と出会えた、この奇跡に――。







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◆ご挨拶

変則的にSSから開始してみました。 【夏空のモノローグ portable】 公式ブログ最終回。
2010年7月29日に発売された初代(PS2版)から、もう実に3年もの月日が経ちましたね。
今日この日、この【夏空のモノローグ】という作品はいったんの幕引きとなりますが、
ここまで応援をしてくださった皆様のお気持ちは本当に嬉しいものでした。
ゲームに始まり、皆様の応援のおかげで様々な科学部に出会えましたからね。


・夏空のモノローグ(PS2版)発売                             2010年 7月29日
・サントラ発売                                  2011年 2月17日
・公式資料集発売                                2011年 7月29日
・ドラマCD発売                                    2011年 7月29日
・夏空のモノローグ portable(PSP移植版)発売            2013年 3月20日
・ブログ最終回                                                       2013年 7月29日


夏空年表ですね。懐かしい日付がたくさんです。
決してタイトルとしてはグッズや派生が多くないにも関わらず、
こうしてみなさまに支え、応援してもらえるタイトルを受け持つことが出来たのは
私にとってはとても光栄なことでした。オトメイトカフェなど色々な場所にも
参加できましたしねー。【サワノイダースプラッシュ】皆様体験しましたか?(笑)
……この名前のせいで某夢の帝国がチラつきますが、気のせいです。


発売後も応援のお手紙等々送って下さる方、ありがとうございます。
製作者サイドとしては何より励みです。たくさん愛される幸せな作品となりました。


それでは挨拶としては短いかもしれませんが、
今日このときをもって 【夏空のモノローグ portable】
ブログ最終回とさせていただきます。いつかまたどこかで、
皆様とお会いできることを願いつつ、これまでのご声援にスタッフ一同御礼申し上げます。




【夏空のモノローグ】応援してくださった皆様、本当にありがとうございました。















―― 【明日】 は、きっといい日ですよ。









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