▼オトメイトモバイルにて、バレンタインイベント公開中！

以前のブログでもアナウンスしましたが、今年のバレンタインはメールではなく
オトメイトモバイル上で御礼コメントが見られる仕様となっております。

2/14～3/15まで公開されていますので、お申し込みくださった方はぜひお楽しみください。
ちなみに、本命キャラクターにプレゼントを贈ってくださった方にはホワイトデーに
スペシャルなキャラメールが届く仕様となっております。こちらもお楽しみに！

詳細は【オトメイトモバイルその26】をご覧ください。


さて、ＣＺも参加させて頂いております当バレンタインイベント。
さっそく見てくださった方もいらっしゃるようで、ご感想などありがとうございます！

今回、本命に関しては設定上、壊れた世界verではちょっと難しい部分があったのと、
義理とリンクさせた内容でもあることで、『現代』の2020年verとなっております。
ＣＺではキャラクターの設定が複雑なのとＥＮＤが二種類あるので、
季節イベントは毎回悩むことになるのですが……。

年賀メールが壊れた世界verでしたので、今回は特殊なバージョンでのお届けとなりました。

「現代ＥＮＤ後で見られて嬉しい！」というお声を頂けてよかったです。萌えて頂けたら幸い。
そうそう、たしかに私服待ち受けはレアですね。どうぞご堪能くださいませ～。
ちなみに、こういうイベントごとではやはり「甘く！」と念じて作ったりするのですが、
ＣＺキャラは本当に勝手に甘くなります……（笑）子供も大人も自重しない奴らです。

あと、「壊れた世界verの彼らでもバレンタインネタが見たい！」というお声も頂きまして。
カオスになりそうですが、私も彼らのバレンタインネタがやりたくて仕方なかったのです。


……ということで、ぜひ今回の小話をご覧ください（笑）


はっ！　そういえば２月１４日は長こと芳宗さんの誕生日でしたね。おめでとう！！
彼の誕生日にはいろいろ思い出が詰まっていそうですが、長くなるので割愛（笑）
芳宗さんとハート型チョコとか……うん、なんか……あれ？　意外と似合う気がする……。
メールでお祝いくださった方、ありがとうございました！


▼ＣＺ小話劇場　～ある日、ある時間の可能性～

さて、今回の小話ですが。
今週はお知らせもそれほどありませんので、スペシャル版でお届けしようかと思います。
更新終了まであと１回ですし、バレンタインですしね。（日付的には過ぎていますが……）
ちょっと長めですが、よろしければお付き合いください。

※ちなみに、ブログ小話の延長なのでちょろっとパラレルです。本編とは切り離してご覧ください。
※本編プレイ済み推奨な内容です。未プレイの方はご注意ください。

それでは、どうぞー。



 


＠ビショップ
「ポジション・ビショップ、入室します。
――キング、なにか御用ですか」

＠キング
「……ああ、ビショップ。
ごめんね、忙しいところ急に呼び出して」

＠ビショップ
「いーえ。
いつものことでしょ。で、なんですか？」

＠キング
「あの、さ。
今、撫子がお菓子を作ってるじゃない？」

＠ビショップ
「……みたいですね」

＠キング
「バレンタインの季節だから、って。
こんな状況下なのに、彼女はちゃんと前を向いてくれてる」

＠ビショップ
「こんな状況下だからこそじゃないですか。
息抜きでもしないとやってられないでしょ。
っていうか料理できる環境を提供したの、あなたじゃないですか」

＠キング
「……うん。それは、そうなんだけど。
で、さ。普通バレンタインって誰かに贈るためのものだよね？」

＠ビショップ
「まー、そーでしょうね」

＠キング
「じゃあ、撫子は誰に渡すために作ってるんだと思う？」

＠ビショップ
「は？　知りませんよそんなの。本人に聞いてください」

＠キング
「……だって。
聞いたとして、もし俺の知ってる人だったりしたら」

＠ビショップ
「……たとえば、レインさんとかですか」

＠キング
「うん、そう。たとえばね」

＠ビショップ
「だとしたら、どーするんですか。あまり聞きたくないですけど」

＠キング
「……ちょっと、困っちゃうかな」

＠ビショップ
「はぁ」

＠キング
「それが、たとえば君でもね。
……撫子が俺にくれるとは限らないけど、
もし他の誰かひとりに――俺の身近な人にあげるんだとしたら」

＠ビショップ
「………………」

＠キング
「困っちゃうんだ。本当に。
彼女は優しいから、それも理解はできるけど。
……俺以外に向けられる想いを、許容できる気がしない」

＠ビショップ
「あなたはまた、笑顔でそーいう……。
素直に彼女に欲しいって言えばいいじゃないですか」

＠キング
「うーん。
そうなんだけど、言うタイミングがつかめなくて。
それに……ちょっと恥ずかしいし」

＠ビショップ
「じゃー、大人しく待ってればいいでしょ。……っていうか
彼女のことだから本当に息抜きに作ってるだけじゃないですか？
お歳暮感覚では配るかもしれませんけど」

＠ルーク
「そうですよー、キング。
心配しなくても大丈夫です。彼女は真面目な子ですしねー」

＠キング
「あれ、レイン」

＠ビショップ
「いきなり現れないでくださいよ、先輩」

＠ルーク
「驚かせちゃいましたかー？
撫子くんがあなたたちを探してたんで、呼びに来たんですけど」

＠キング
「え、撫子が？　俺たち……を？」

＠ビショップ
「こっち見ないでくださいキング。ぼくは知りません。
仕事に戻ります。それじゃ」

………………

＠ルーク
「おやおやー。ビショップくんは逃げ足が速いですねー」

＠キング
「撫子が探してるなら、俺も行かなくちゃ」

＠ルーク
「ここにいれば、すぐに来ると思いますけどねー？」

＠キング
「……ところで、レイン。なんだか甘い香りがするね。
撫子はここにいないのに、どうしてかな」

＠ルーク
「あー……、はい。
社交辞令ってヤツは受け取りましたよー？」

＠キング
「そっか。……社交辞令、なんだ？」

＠ルーク
「……はいー。それはもちろんー。
心配しなくても大丈夫ですよー、キング。
クイーンは、あなたの期待を裏切りません」

＠キング
「………………」

＠ルーク
「だって、そういう風に定められてるんですから」


＜誰のところに行く？＞

→【ルーク】
→【ビショップ】
→【キング】












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【ルークの場合】

＠撫子
「やっぱり、多く作りすぎちゃったわね……。どうしようかしら。
自分で食べきるのは大変だし、捨てるのももったいないし」

＠撫子
「………………」

＠撫子
「…………ねえ、レイン。そこにいるわよね？」

＠ルーク
「……おやおや、バレてましたー？
って、たまたま通りがかっただけですよー」

＠撫子
「本当かしらね。
……あのね、お菓子を作りすぎてしまったの」

＠ルーク
「みたいですねー。よく出来てるじゃないですか」

＠撫子
「ここのスタッフのひとたちで分けてもらえる？」

＠ルーク
「え、いいんですかー？　
それなら、ありがたく頂きますけど。喜ぶと思いますよー」

＠撫子
「ええ。捨てるのももったいないし。
誰かが食べてくれたほうが、私も気が楽だわ」

＠ルーク
「……へえ。
ねえ、撫子くん。キングには渡さないんですかー？」

＠撫子
「…………どうして？」

＠ルーク
「彼、楽しみにしてるみたいでしたから」

＠撫子
「そう……。
そうなのかなって思ったから、渡すことも考えたわ。
でも、やっぱり……」

＠ルーク
「心の整理がついてないうちは、曖昧ないコトはしたくない、ですか？
あなたって本当に真面目ですよねー」

＠撫子
「……バカにしてるの？」

＠ルーク
「いえいえー。褒めてるんですよ、これでも。
……ねえ、撫子くん」

＠撫子
「……なに？」

＠ルーク
「ボクね、甘いもの好きなんですよー」

＠撫子
「は？」

＠ルーク
「ビショップくんも、嫌いじゃないと思いますー。
政府のスタッフといったらボクらも含まれますしー。あ、もちろんキングも、です。
……せっかくですから、ついでにあなたの手から渡せばいいじゃないですか」

＠撫子
「ついで……」

＠ルーク
「そう、ついでですよー。
ってコトで、ボクの分は多めにお願いしますねー。
あ、それともあなたが食べさせてくれますかー？」

＠撫子
「……調子にのらないでちょうだい」

＠ルーク
「あはは、振られちゃいましたねー」

＠撫子
「でも……そうね。ありがとう、レイン」

＠ルーク
「……どういたしましてー」

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【ビショップの場合】

＠撫子
「はい、これ」

＠ビショップ
「……なんですか、これ」

＠撫子
「どう見てもお菓子でしょう。見えない？
……気分転換に作ったはいいけど、作りすぎちゃったから」

＠ビショップ
「お菓子ですか。
すみません、あまりに前衛的でそうとは見えませんでした」

＠撫子
「……あら、そう。目が悪いんじゃない？」

＠ビショップ
「冗談ですよ。……で、なにか企んでんですか？」

＠撫子
「お菓子ひとつで、なにを企むっていうのよ。
それともあなたは私がお菓子をあげたくらいで
ここから逃がしてくれたりするの？」

＠ビショップ
「バカ言わないでください。
あなたが作った程度のお菓子で釣られるわけないでしょ」

＠撫子
「…………そうよね。
あなたの分まで用意した私がバカだったわ。それじゃ」

＠ビショップ
「――撫子さん」

＠撫子
「……なに」

＠ビショップ
「ぼくが受け取ったこと、キングには内緒にしといてくださいよ」

＠撫子
「……どうして？　
べつに、渡したのはあなただけじゃないわ。レインにだって」

＠ビショップ
「キングに嫉妬されてちゃ、ゆっくり味わえませんから。
それに……追求されたら困りますしね」

＠撫子
「？　追求ってなにを――」

＠ビショップ
「……ぼくがあなたをどう想ってるかを、です」

＠撫子
「え……？」

＠ビショップ
「キング相手じゃ、誤魔化しきれませんし。それじゃ」

＠撫子
「…………ええ？」

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【キングの場合】

＠撫子
「――あ、ここにいたのね。探したわ」

＠キング
「撫子！」

＠撫子
「……どうしたの？　そんなに慌てて」

＠キング
「ううん。なんでもないんだ。
ただ、君の顔を見られたのが嬉しくて」

＠撫子
「…………。そ、そう」

＠キング
「えーっと、それで……どうしたの？　俺に何か用事？」

＠撫子
「あ、ええ。
キッチン、貸してくれてありがとう。
せっかく作ったから……これ、あげるわ」

＠キング
「撫子……」

＠撫子
「……バレンタインだからとかじゃ、ないから。
いくらなんでも、そこまで浮かれてないわ」

＠キング
「……うん。
ここに君を閉じ込めてるのは、俺だからね」

＠撫子
「………………」

＠キング
「でも、嬉しい。
ありがとう……すごく嬉しいよ。夢みたいだ」

＠撫子
「……はぁ。あなたって、本当に大げさよね」

＠キング
「…………撫子」

＠撫子
「……え。ちょ、ちょっと。なに？
どうして近づいてくるのよ？」

＠キング
「……ごめん。
だって君が、そんな風に笑ってくれるから」

＠撫子
「……言っておくけど、呆れの笑いよ？」

＠キング
「うん、わかってる。
でもやっぱり嬉しくて……我慢できないんだ」

＠撫子
「な、なにを！？」

＠キング
「ねえ、撫子。御礼、させて」

＠撫子
「いい、いいから。御礼なんて、望んでないわ」

＠キング
「俺が返したいんだ。君からもらった、大切な気持ち。
……ね、だめ？」

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＠哲学者
「――さて。先日も伝えたが、若」

＠反逆者
「あぁ？」

＠哲学者
「チョコレートを作ろうと思うのだ」

＠反逆者
「あ、そ。んじゃカカオでも採りに行って来い。
そんまま帰ってくんな」

＠放浪者
「素材から作り出したら一生完成しないぞ……。
というか、材料が明らかに足りないと思うんだが」

＠反逆者
「コイツの場合、一生完成しないほうが世のためだろ」

＠哲学者
「む……若、なにやら機嫌が悪いな」

＠反逆者
「あー、そうだな。お前がアホなコトばっか言い出すせいでな」

＠哲学者
「違うぞ。
そなたはいつもかるしうむが足りておらんが、なにやら……
おお、そうか。撫子からチョコがもらえず拗ねておるのだな？」

＠反逆者
「……はぁ？」

＠放浪者
「な……っ、お前……そうだったのか」

＠反逆者
「ンなワケねーだろ。いるか、そんなもん」

＠哲学者
「なに、そう照れずともよい。案ずるな。
チョコレートは難しくともなにかしら菓子は作ると言うておった。
まさに今、料理場にて作っておるようだな」

＠反逆者
「へぇ……って、ちょい待て。
お嬢が菓子作ってるって言ったか今」

＠哲学者
「うむ。ふ……やはり、気になるのだな？」

＠反逆者
「ったりめーだろ！！！　
人質が暢気に菓子作るとかどーいう了見だっつの。
っつーかなんで部屋から勝手に出てんだよ。楓はどーした」

＠哲学者
「バレンタインというのはな、若……。
誰にも止められぬ想いがそこに潜んでおるのだ」

＠反逆者
「おい、通訳」

＠放浪者
「オレは通訳じゃない。
……たまには息抜きをさせてやれ、ということだろう。
あいつはこれまでだって我慢してるんだ」

＠反逆者
「そーいう問題じゃねえ。許容すること自体が甘ぇっつってんだよ」

＠哲学者
「ごたくはよい。
要はそなたが撫子のチョコを欲っしているか否か、それだけが問題だ」

＠反逆者
「だからなんでテメーは無駄にカッコつけてんだ」

＠放浪者
「たしかに、やけに浮かれてるな……。
でも……撫子の手作り、か。
こんな状況で、また食べられるとは思わなかった」

＠反逆者
「……お前、もらう気マンマンなのかよ」

＠放浪者
「お前らよりは、もらえる確率が高いと思いたいからな」

＠反逆者
「けっ、興味ねー顔してちゃっかりしてやがんのな」

＠哲学者
「よし。ではチョコレート作りは諦め、
大人しく彼女の菓子を楽しみに待つとしようではないか」


＜誰のところに行く？＞

→【反逆者】
→【哲学者】
→【放浪者】















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【反逆者の場合】

＠撫子
「あの……今、ちょっといいかしら。忙しい？」

＠反逆者
「あ？　なんだよ」

＠撫子
「……御礼を言うのもおかしな気がするけど、
調理場、使わせてくれてありがとう」

＠反逆者
「あー……オレは知らねえ。アイツが勝手にやったコトだろ」

＠撫子
「立場上、あまりよくないことだっていうのはわかってるわ」

＠反逆者
「なら、反省してとっとと部屋帰れ」

＠撫子
「そういう言い方しなくてもいいじゃない。
これ、渡しに来ただけだから」

＠反逆者
「……なんで作った菓子、オレに渡すんだよ。
ご機嫌取りってやつか？」

＠撫子
「…………」

＠反逆者
「じょーだんだよ。ンな睨むなっつの。
……ま、あんま褒められたことじゃねえけど
オレらがあんたを縛ってんのも事実だからな」

＠撫子
「そうね。
だから私はあなたに謝る必要も、日頃の御礼を言う必要もないわ」

＠反逆者
「…………」

＠撫子
「――でも、息抜きになったのはたしかよ。
……それが嬉しかったのは事実だから。これは、その御礼」

＠反逆者
「ホントあんたって……変なヤツ」

＠撫子
「あら、ありがとう」

＠反逆者
「褒めてねえよ。
ま、もらえるもんはもらっとく。どーも」

＠撫子
「ええ。じゃあ、私はこれで」

＠反逆者
「――待てよ、お嬢」

＠撫子
「なに？」

＠反逆者
「……こーいうのはお返しが必要なんだろ。
っつっても、一ヵ月後なんてどーなってるかわかんねえし。
だから今、ここで。……返してやろうか？」

＠撫子
「――え？」

＠反逆者
「ただし、お返しの方法はオレの好みに任せてもらうけどな。
……こっち、来いよ」

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【哲学者の場合】


＠哲学者
「おお、待ちわびたぞ。
座るがよい。今、茶を出そう」

＠撫子
「え。私、部屋に戻らないと怒られると思うのだけど」

＠哲学者
「なに、心配ない。怒られるのは楓であろう。
あやつは強い男児だ。うむ、よいことである」

＠撫子
「よくないと思うわ」

＠哲学者
「……して、そなたから甘い香りが漂ってくるのは
私の勘違いではなかろう？」

＠撫子
「あ……ええ。
いい息抜きになったみたい。ありがとう」

＠哲学者
「うむ、それはなによりだ」

＠撫子
「…………」

＠哲学者
「…………」

＠撫子
「…………？」

＠哲学者
「どうしたのだ？　撫子」

＠撫子
「え、あなたこそどうしたの？　
えっと……この手はなに？」

＠哲学者
「待て。みなまで言わずともよい。
そなたの気持ちはわかっておるゆえ。
恥ずかしがっておるのだな？」

＠撫子
「あの、意味がわからないわ」

＠哲学者
「む？　
私に菓子を贈ることを恥ずかしがり、
ためらっておるのではないのか？」

＠撫子
「え……」

＠哲学者
「…………！！　ま、まさか……。
そなた、私に菓子を贈るという選択肢がなかったと言うのか」

＠撫子
「え、あの……ご、ごめんなさい」

＠哲学者
「……な、なんと……」

＠撫子
「ちょ、ちょっと待って。あの……違うの」

＠哲学者
「いや、よいのだ。私が先走ってしまった。
そなたは優しく真面目な女子だ。
やはり立場を鑑みて贈ることをためらったのであろう」

＠撫子
「待ってってば、違うわ。
……その、少しだけ失敗してしまったから。
渡そうかどうしようか、悩んでいただけなの。
でも、まさか期待してくれていたとは思ってなくて」

＠哲学者
「…………撫子」

＠撫子
「せっかく息抜きにって作ってもらった機会だから、
あなたに美味しく食べてもらいたかったのよ。
だから、あのね。あるにはあるのだけど。
出来はあまり期待しないで欲しいの。ごめんなさ……、――っ！？」

＠哲学者
「……よい。私は嬉しいぞ、撫子」

＠撫子
「なっ、なんでいきなり抱きつくのよ！？」

＠哲学者
「嬉しいからだ。……そなたの気持ちが、伝わってきた。
本当は菓子など望んでいたのではない。
そなたの気持ちを少しでも感じられることを望んでいたのだ」

＠撫子
「…………っ、ずるいわ」

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【放浪者の場合】


＠撫子
「あ、いた」

＠放浪者
「……ああ、お前か」

＠撫子
「またどこかに行っちゃったのかと思ったわ。
いつも決まったところに留まってないんだもの」

＠放浪者
「人を根無し草みたいに言うな。
……で、どうした。なにかあったか？」

＠撫子
「…………なにそれ」

＠放浪者
「？　なんでいきなり機嫌悪くなってるんだよ、お前」

＠撫子
「私がお菓子作ってたの、知ってるでしょう？」

＠放浪者
「ああ、あいつらが言ってたな。
バレンタインの季節だからとか。息抜きになったか？」

＠撫子
「息抜きにはなったけど……気にならないの？」

＠放浪者
「なにが」

＠撫子
「……もう、いいわ」

＠放浪者
「おい、撫子」

＠撫子
「気にならないんでしょう？　
私がどうしてお菓子作ってたかなんて」

＠放浪者
「………………」

＠撫子
「べつにイベントごとだから頑張ったわけじゃないけど……。
一応、ちゃんと考えて作ったのに」

＠放浪者
「……気になってたよ」

＠撫子
「嘘」

＠放浪者
「嘘じゃない。気になるに決まってるだろ。
……でも、変な期待するわけにもいかないし」

＠撫子
「…………」

＠放浪者
「……いや、今のは嘘だ。
お前は、ちゃんとくれると思ってた。
昔だってかかさずにくれてたしな」

＠撫子
「じゃあ、どうして気のないフリしたのよ」

＠放浪者
「……お前が、オレ以外にも渡してると思ったから」

＠撫子
「？　なんでそれが理由になるの？」

＠放浪者
「なるだろ。
昔みたいに、その他大勢じゃオレは嫌なんだよ」

＠撫子
「…………それって」

＠放浪者
「お前はあいつらにもやるって、わかってたから。
ひとりで浮かれるのも、格好悪いだろ」

＠撫子
「――特別よ」

＠放浪者
「……撫子？」

＠撫子
「他の人にあげたとしても、これだけは特別。
……私は昔から、そうよ」

＠放浪者
「…………なんだよ、それ」

＠撫子
「……本当のことだもの」

＠放浪者
「お前な……そういう言い方されたら、勘違いするぞ」

＠撫子
「……してよ、勘違い」

＠放浪者
「…………。
はぁ……あとでうるさく言われても、もう待ってやらないからな」

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【情報屋の場合】


＠情報屋
「えっ？　これ、僕にくれるの？」

＠情報屋
「ああ、そっか。バレンタインの季節なんだっけね。
懐かしいなあ。昔はよく、僕もお菓子を作ったよ」

＠情報屋
「うん、僕は誰かに食べてもらうのが好きだったからね。
もらうのはほとんどなかったかな」

＠情報屋
「普段、あまりお菓子を作ってもらったことないから……
すごく嬉しいよ。ありがとう」

＠情報屋
「……お世辞じゃないよ。
君が一生懸命作ってくれたなら、嬉しいに決まってる」

＠情報屋
「……なんだか、今日はいきなり特別な日になっちゃったな」

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ＦＩＮ．


と、いうことで今回の小話は壊れた世界でのバレンタインデーでした。
いろいろと寸止めで失礼しました（笑）相変わらずブログ小話の域を越えるので。
今回は特別大ボリューム！　ということで少しでもお楽しみ頂ければ幸いです。

来週は小話も最終回です。今からネタに悩んでおります（笑）


今週は『なぜなにクロックゼロ』で色々と質問に答えようと思ったんですが、
思いのほか小話が長くなりすぎたので（笑）なぜなには来週にまわしますー。
更新が終わってしまう前にと、この機会にメールくださったみなさま、
誠にありがとうございます。いくつかピックアップして、来週反応しますね。



さて！　来週は最終回です。
えーっと、いつも通りでいきます。なんか予告するとプレッシャーだから（笑）

それではまた来週、お会いしましょうー。